複雑・ファジー小説

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。【オリキャラ募集開始!!】 ( No.40 )
日時: 2012/12/24 21:17
名前: 藍永智子 (ID: u208j8/H)

 しばらく話しているとその人の名前が星宮菖蒲ホシミヤショウブということ、あやめの双子の弟であること、桔梗たちの行っている学校の生徒だということなどが分かった。
 ——と、しょうぶが思い出したように言った。
「そうそう、月輪に連絡しておいたぞ。しかも、とっておきの赤便で」
 しょうぶは努めて軽く言ったつもりだったのだが、あやめはその一言で再び凍りついた。そして、硬直が解けるやいなや——

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「にゃぁ!!」
「えっ、何?? 超かわいいんだけど!!」
「……びっくりしたんです!」
「ゴメンナサイネ!」

 あやめの絶叫にびっくりした桔梗が、なんとも可愛らしい悲鳴を上げてしまったのだ。……ではなくて、
「なんでわざわざ赤便!? そしてどうやってアレを送ったの!? 私の印が必要な筈なんだけど!?」
 赤便というのは、星宮——並びにこの周辺を担当している一族の間で統一している連絡手段の一つだ。
 妖鳥を毛の色で区別して使っているのだが、赤便の他にも青便や黒便などがあり、それぞれ意味を持っている。

 赤便が飛ばされるという事は、つまり「非常事態の応援要請」を表していた。

「それ相応の事が起こっていたし、送り方は古文書解読したから知ってるし、印は盗み取った」

「……せめて私に相談するとか出来なかったの?」
 
 あやめが暗い顔をしてそう言った。
 するとしょうぶはあっさりとそれを切り捨てた。

「無理だな。——この意味がお前になら分かるだろ?」

 まさか、とあやめが驚愕の声をあげ、目を見張る。しょうぶは、ただ首を縦に振った。
 桔梗は二人の話がちっとも理解できないものだから部屋の隅の方で宿題に没頭していたのだが、あやめのただならぬ様子にその手を止めた。
「……あやめ、大丈夫?」
 遠慮がちにかけたその一言であやめは、はっと我を取り戻した。すると途端に、桔梗の肩をがしっと掴んだ。
「へっ!?」
「桔梗、妖怪に追われるようになったのっていつ頃から!?」
 そう言うあやめの表情があまりに怖いものだから、桔梗はてっきり自分が何かしたのかと思って、固まってしまった。
「桔梗っ!!」
 あやめが返答を求めて、再度桔梗に詰め寄る。
「……えっと、確か七十八日前からです! 何かすみませんでしたっ!!」
 なんだかよく分からないままに、桔梗は大声で謝った。
 あやめはというと……「七十八日」という日付を聞いた瞬間に、部屋を飛び出して行ってしまった。

(……へ? ドユコト?)

 答えを求めてしょうぶの方を見てみるが、怖ろしい顔して睨んできたので、桔梗は仕方なく諦め、あやめが戻ってくるのを大人しく待つことにした。