複雑・ファジー小説
- Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.85 )
- 日時: 2013/01/12 15:16
- 名前: 藍永智子 (ID: hAgu59fa)
——ゴーンと突如鳴り響いた時報に驚きつつ腕時計に目をやると、時針が今にも十二時を回ろうとしているところだった。
(うわっ! 確か明日も学校あるんだよなぁ……)
そんなことを考えていたあやめは——近所迷惑になることをまったく気にしていないのか——この時間には珍しい物凄く高いテンションの雫達を見てため息をついた。
「それじゃあ、あたしは明後日からその学校に行けるってこと!? 本当に!! ねぇ三郎、聞いて聞いて!! あたし、学校に行くの超久しぶりなんだ!! 中学校までは、そこそこお金あったし親もいたから普通に通えてたんだけど、両親が亡くなっちゃったし貯金もゼロになったから高校は行けなかったの。……だから、凄く嬉しい。たとえそれが任務だからなのだとしてもよ!!」
「そういや、俺がお前に初めて声かけた時……ひどい顔してたもんなあ。落ち込んでたとしても、あれはひど過ぎねえか? あちこちにガーゼ貼ってあったし」
「うっ、うん……それはまあ、ね? 色々あったのよ、事情が」
「ふーん。——それはともかく、学校行けることになって良かったな!!」
「ありがと、三郎!! よーし、やる気出てきたからめちゃくちゃ頑張っちゃう!! まずは学校の下調べ……キャラを創るのはそれからで良いよね!?」
あやめは、注意していないとため息が口からこぼれ出てしまいそうだった。うっかりとしていた一瞬に、またしてもそれをしてしまう。
(……もう家に帰って、布団に飛び込みたいよぉ!!)
姉であるあやめがこのように壮絶な時間の経過との闘いを強いられていたとき、弟であるしょうぶは、そんなことなど全く気にかけずに、大きないびきをかきながら自分の布団の中でぐっすりと眠っていた。
そんなことを知らないあやめは、しょうぶが起きたまま自分のことを待っていて、晩ご飯の支度もきちんとしてくれているのだと思い込んでいたのだが。
——因みにいっておくと、しょうぶはとっくに眠りについていたし、晩ご飯も作るのが面倒だったため近くにあるファミレスで済ませていた。
思い切って宗匠に声をかけてみたが、「あと少しだけだから」とやんわり断られてしまった。
(くっそー!! 会議なら三十分くらい前に終わったじゃん……)
——それでは、ここで時間を一旦「三十分くらい前」に遡らせよう。