複雑・ファジー小説

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.91 )
日時: 2013/01/21 20:30
名前: 藍永智子 ◆uv1Jg5Qw7Q (ID: dQt5LOir)

 使ったものをそのままにしてしまうためかあちこちに物が散乱し、散らかり放題になっている自分の部屋を見るとどうしても、あの、きれいに整理整頓されたうえに家具や細かな雑貨にまで気が配られていたあやめの部屋を思い出してしまい、そのせいで桔梗の気分は沈んでいく一方だった。

(きっと私の心の中には泥沼があってさ、今はそこに溺れていく最中なんだよ……。って、いかんいかん!!)

 このままではマイナス思考に拍車がかかってしまいそうなので、慌てて違うことを考えようとする。

(今までは何だか気が動転していてあんまり気にならなかったけど、あやめって……星宮一族って陰陽師だったんだなあ)

 「陰陽師」が実在している、ということに関して一切疑いを持たなかった時点で、桔梗は相当動転していたに違いない。
 彼女が使役しているらしい妖怪——厘銘を見せられた今となっては、最早疑う余地などどこにも存在しないのだが。
 こんなことをぼんやりと考えていても、散らかり放題の部屋は嫌でも視界に入ってくる。それが見える度に桔梗は目尻に皺を寄せてはその辺りを揉み解す、という何とも地味で——しかしながら、とても面倒くさい作業を何度も繰り返して行っていた。