複雑・ファジー小説

Re: MARIONNETTE 〜蒼の翼〜 ( No.5 )
日時: 2012/05/03 15:11
名前: ナル姫 (ID: 8TfzicNZ)

*大きな背に

僕と兄上が会話をしていた一方、大殿の居城である米沢城では、大殿が緒戦に敗れたことがきっかけで、大殿を嫌うお東様(政宗の実母)を中心に、大殿の批判が広がっていた。大殿の側近達は処刑などを提案したそうだが、大殿本人がまるで無視していたそうだ。非難は更に酷くなるばかりで、ついに大殿を隠居させるための会議にまで発展した。
…と、言うのを、僕は教育係の木野定行から聞いた。

「何で大殿は動かないんだろう?」
「大殿にも、何かしらの考えがあるのでしょう…」
「…」
「お東様は、伊達の看板に泥を塗った、とか…あと、図太い恥知らずな男だなど言っておられるそうです」
「…酷いな」
「…大殿は、何も感じておられないようでした」

感情が薄くなっているのか。
それは、わからないけど。

「…他に話は?」
「いえ…何も、聞けませんでした」
「そうか…」

そして、兄の言葉が本当になった。


___



「失礼致す!金田殿!」
「何用ですかな?」
「殿より参陣命令!今すぐ米沢にとの事!」
「分かり申した。すぐに向いましょうぞ」

そして、父と兄は武装し、米沢へと向かった。定行も同じ。
僕は只、その後ろ姿を見ていた。そして僕も、父上や兄上と並んで歩くのだと。


そう思っていた。