複雑・ファジー小説
- Re: 銀雪の祠 【コメをください】 ( No.3 )
- 日時: 2012/04/16 19:59
- 名前: ガリュ (ID: F.VKszn7)
第一話【一輪ノ一枚目】
『銀雪の祠』
中学3年生の慧宮桜祁は妖が見える。妖は昔、誰にでも見えていた。しかし、社会が発展するにつれて
妖達は人々の前から消えていった。
桜祁は9歳以下の記憶がない。
記憶を喪失してしまったんだ。
桜祁は妖が見える数少ない者の一人。
そしてその桜祁は受験勉強におわれていた。
(あぁ〜。くそ!頭が痛くなってきた。休憩するか…。)
桜祁は机の横の窓をガラガラーッと音をたてながら開ける。
窓から冷たい空気がはいってきた。外は一面真っ白な世界だ。
桜祁は散歩に出ることにし、ハンガーにかけていたジャンバーに身を包
む。
靴を履き、玄関から出て鍵をかける。
桜祁は一人暮らしなため料理もお手の物。
鍵をジャンバーのポケットに突っ込み、
歩き始めた。
(…どうせなら受験が受かるようにお願いしに行こう。)
そう思い、桜祁は神ヶ森という名前の森に向かうことにした。
森にいくのは久しぶりだ。森に入り茂みをかきわけていくと
紅い鳥居が見えた。そこを潜ると石段が何段も続いていた。
のぼって数分後——、小さな祠が現れた。
祠には札が何枚も貼られて少し奇妙だった。
桜祁は祠の前でパンッパンと二回手を叩き、合わせる。
願い終ると桜祁は好奇心で札をはがしてみた。
すると、祠の中から声が聞こえてきた。
『…やっと今、あいつ等をやれる…。』
そう言いい終わると、祠の扉がバァンと開き、何かが飛び出してきた。
飛び出してきたものは桜祁の前におりた。
『一つ…叶えてやろう。貴様の望みはなんだ?』
桜祁の前にいたのは2m〜4mくらいの大きさの獣だった。
白い毛並みは雪のようで、瞳は黄金色で美しかった。
「お…俺の…望み?」
『なんでも叶えてやるぞ。ここから出してくれたお礼だ。
桜祁が妖怪が見えると気付いたのは
三歳頃。通りすがりの和服を着た女の人の首が有りえない程のびたからだ。
『は・や・く・言・え!』
妖は桜祁に顔を近づけて喋る。
「望みったって、いきなり言われても…!」
『迷っているのか?そんなに願いがあるのか?それとも願いが見つから ないのか?ほとんどの人間は欲望で溢れているからなぁ。だが、貴様からは欲望が感じられんな。』
桜祁の返答がおそいため妖は雪で遊び始めた。
一方、桜祁は何を願えばいいのかわからなかった。
「な…なぁ、なんでも叶えてくれるのか?」
『あぁ。もちろんだ。』
「…なにも…ない。」
桜祁の答えに妖は驚く。
『な…なにもいらないのか…!?』
「ああ。ないさ。」
『…こんな人間は久しぶりに会ったな…。おもしい。お前、名はなんと言う。』
「慧宮…桜祁。」
桜祁は答える。
『桜…か。私とおなじだな。私は桜月銀色だ。銀と呼べ。』
桜祁は微笑んでただ、コクンと頷いた。
