複雑・ファジー小説

Re: 銀雪の祠 【コメ、くださいませんか】 ( No.7 )
日時: 2012/04/15 21:07
名前: ガリュ  (ID: F.VKszn7)




        第一話【一ノ三】

 ごめんと桜祁が言いかけたとき、箱の中に入っていた紙が全て、中に
舞い上がる。そして紙は光りながら桜祁達を中心にまわりはじめる。
すると、紙の光が部屋の端に集り、人の形を作り出していく。
耳がとんがっている女性が三人いた。後ろの二人の女性は巫女のような
着物を身に着けていた。
銀式はボソッと呟く


「刑部…か。」
「今日は、あなた方にあの方の伝言をお伝えすべく、
 やってきました…。」

そう刑部は言い、中を回っている紙を一枚手に取る。



「慧宮桜祁。あなたは数少ない封じ者です。そう、あなたは妖の命を
 救うことができるのです。妖だけではありません!人間や他の生き物
 も救うことが出来るのですよ。」

そう言い終わると、三人とも刑部が持っていた札に入り込んでいった。
そして札はすいすいと桜祁の前でピタリと止まる。

『妖の気配がします。陣里の森で暴れています!向かうのです!!』
「はぁっ!?」

銀式の方に振り向くと銀式は立っていた。

「ほら、いくぞ!」

銀式は桜祁を蹴っ飛ばす。
桜祁は仕方がなく靴を履き、玄関をでる。三人が入った札は空中を
スイッと移動し、ついてくる。しかも速い。

「ちっ、遅ぇ。桜祁、乗れ!!」

桜祁は銀式の背に腕を使い、乗る。
所々少ないが行きかう人々が見える。

「なぁ…?他の人達に見えるのか?」
「あぁ、私は見えないがおまえは見えているさ。」

「はぁ!?じゃあ、他から見たら不自然じゃないか!!」
「…不自然とは思わないと思うぞ。お前は知らないのか?」

桜祁は銀式の言葉が理解できなかった。

「ここの住民はなぁ、妖という存在を知っている。」
「知っている?」
「見えないが知っているからな、玄妖に喰われるんだ。」
「喰われる…?」

「ああ。今、私や刑部の言葉の意味がわかっただろ?」

銀式に続き、刑部も喋る。
『そうです。貴方が救えるんです。命を。』

 「…。」

そう会話している内に、陣里の森につく。森は大きく妖気を放っていた。森の中に入ると、薄暗く、外見よりももっと奇妙だった。
すると、どこからか『キヒヒヒ』という不気味な笑い声が森に響く。

「桜祁、気を付けろ。」

桜祁は銀式から降り、辺りを見回す。
銀式は氷の矢を茂みの中に向かって放つ。すると何かが茂みの中から飛び出し、木の上へと移動する。
銀式は周りに氷の飛礫をつくりだし、順番に相手に発射していく。

そして四個目に発射した飛礫が当たる。
木の上から蛇のようなものが落ちてきた。
蛇は首を上げ、ジロッと桜祁達を見つめる。