複雑・ファジー小説

Re: 銀雪の祠 【コメ、くださいませんか】 ( No.9 )
日時: 2012/04/16 22:05
名前: ガリュ  (ID: F.VKszn7)
参照: http://mb1.net4u.org/bbs/kakiko01/image/228png.html




         一話【一ノ四】
          『銀雪の祠』

 蛇といっても5m以上で太く、龍にも似ている。

「その妖怪は大蛇です。ここいらへんの湖や池の主です。きっと、玄妖
 がなにかしたのでしょう。桜祁、元は良い妖怪なのですよ。」

「なんで俺に言うんだぁ!?」

銀式にもやれと言われ、反発するのも面倒な桜祁はやることにした。

「わかったよ…。わかったから、刑部、どうすんだ!?」

桜祁は頭をガシガシとかきながら面倒臭そうな顔をしていると
札が桜祁の顔面に突進した。
バシィッという音をたてて顔にくっ付く。

「貴様!!刑部様に呼び捨てとは…っ!!無礼にも程があるぞっ!!
 貴様は低級なのじゃ!!調子にのるではない!!」
「こら…いいのですよ…!」

刑部の声に耳をかさず
バシッ、ビシッとまた顔面を叩く。

「おい貴様等、遊んでいる暇はない!!」

銀式の言葉で札は顔面を叩くのをやめる。

「右巫女、おやめなさい。」
「す、すみません…。」
刑部はやさしく右巫女を叱った。
銀式は相手に向かって吠える、すると大蛇の周りの地面から氷の手が襲い掛かる。大蛇は氷の手に捕まっていた。

グォァァアアアと大蛇は悲鳴を上げる。すると、大蛇はガパッと口をあける。口からは水流が放たれ攻撃は桜祁達の立っている場所に向かっていた。銀式も口を開け、冷気とともに青い光線が放たれる。

ギュバーンという音とともに銀式と大蛇の間に氷のかたまりができていて、氷からは冷気が放たれていた。





大蛇と銀式はじりじりと睨みながらゆっくりと動く。

「さぁ、桜祁!銀式と力を合わせ、封じるのです!」

桜祁は札にドンッと押される。
「っていっても、札持ってきてないし…。」
「ありますよ。貴方の手に握られているじゃないですか。」

刑部が言っていることが桜祁は理解できなかった。

(だって…持ってきてない…は…ずぅっ!?)

刑部が言った通り、桜祁の手には確りと札が数枚握られていた。

「その札は持ち主の意思によって動くのです。だ・か・ら、
 本当は救いたいと思っていたんですね…クスッ!」

 桜祁は顔を赤くしながら うるさい、と言って銀式の隣に立った。

「銀、どうすればいい?」
「私が大蛇に攻撃し、死角をつくる。だからその隙に…!」

 桜祁はわかったと言って構える。
銀式の瞳はカッと青色に光る。そして、銀式の前に六角形が出来る。
角の所には少し大きい青い魂が光っていた。

そしてカッと光ると青い光線が一斉に大蛇に向かって放たれる。
大蛇は身の回りを水流でグルグルッと囲み口から先程よりも強い水流を放つ。

「今です、桜祁!!」

桜祁は全力疾走で大蛇のとこまでいき、そして札をあいてに向かって投げる。

『その札は持ち主の意思で動く——。』

「いっけぇぇ——!!」

札は大蛇の体にはり付く。そして札と大蛇は眩しい白い光を放つ。
桜祁はあまりの眩しさに目を瞑ってしまう。

目を開けると青く澄んだ色の大蛇と横に札が一枚落ちていた。

桜祁は恐る恐る近づき、札を手に取った。すると、札はカッと光って消えてしまった。

「取り付いた妖怪は無事にあの世へいけたさ。」

銀式は大蛇に近づいて起こし、無事に帰した。

「おまえ、よるか?」
「…うん。わかったよ…。やるよ!」

刑部たちは気がつくと消えていた。
桜祁がこう決断するのを待っていたのだろう。


「おまえといると、何かわかるかもしれない。
 しばらく一緒にいさせてくれないか?」

「ああ。もちろんだ。」


   



    帰る頃には銀の雪が町に降り積もっていた。

 しかし桜祁が封じ者になることで運命の歯車が大きく動き出す——。