複雑・ファジー小説
- Re: 黒魔女と契約者〜私と契約しませんか?〜【コメ募集中!】 ( No.22 )
- 日時: 2012/11/17 10:27
- 名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
- 参照: 第一章「学院の日常」
「——命令よ、クラウ。ロイ・スペードとアリアの薔薇を奪い取るのよ」
「ロイ、お二人の薔薇を……何としてでも取りなさい」
「「かしこまりました」」
契約者の命令に二人とも頭を下げる。
スペードは冷静に黒ブチ眼鏡をかけ直し、私を真っ直ぐと見つめた。紅い瞳に見とれているとスペードは私を鼻で嘲笑い、
「魔女といっても所詮悪魔に力を与えられた人間……先手は貴様にやる」
挑発するような物言いをした。
だが、玲華様の命令はお二人の薔薇を奪い取ること。今はこんな安い挑発に乗っている場合ではない。
「前者の言葉は余計ですねぇ。——ですが、ここはお言葉に甘えさせていただきます」
私は胸ポケットに仕込んであるナイフ数本を、スペードに投げた。
そんな物はもちろん当たることなく、白い壁に刺さる。
「さっさと当たって下さい。私だってこの戦いを長引かせたくはないのですよ」
「ッフ、嘘を言うな。久しぶりの戦いで血が騒いでいるのだろう?」
確かに身体が熱い。これはスペードの言うように血が騒いでいるのだろうか……?
私は熱を忘れるように冷静に答えた。
「……どちらにせよ私のやるべきことはただ一つ。出来るかぎり早く、玲華様にあなたの薔薇をお届けすることだけを考えていればいいのです」
「……そうか。少なくとも自分は貴様ともっと戦いたい。——が、」
スペードは剣で私のナイフを弾く。恐ろしく切れ味の良いナイフは、床に敷いてある赤い絨毯を傷つけた。
——そして一瞬だけ、スペードの瞳の色が変化した。絨毯の色より深く、まるで生き血のような紅い色に。
「今回は例外だ。アリアの命令が出ている以上、自分は従うしかないのだから」
「そんなの……誰でも同じです、よっ!」
私はナイフを、スペードは剣を持って背後の取り合い合戦となっていた。
だが今回のルールは薔薇を二本取る事。当然、契約者たちも傍観だけではない。
先手を打ったのはアリア様だ。目の前の悪魔に教わったであろう武術で玲華様に向かい合った。素早すぎて彼女の動きを確認するには、置いていかれている長い髪がだけが頼りだ。
「くっ……!!」
「玲華ちゃん、悪いけど薔薇はいただくわ……!」
「っ……、魔力、私の盾となれ」
玲華様が短い呪文を呟くと、お二人の間には半透明の黒掛かったフィルターのようなものが現れた。
おかげで伸ばされた手は弾かれた。私の教えた通り使えたのか、相手の腕は麻痺しているようだ。
……あれなら平気ですね。
私は一安心して、悪魔との戦いに集中した。
「……だらし無い顔をするな」
「ふふ、すみません。彼女の成長が微笑ましくて、つい」
無意識に緩んでいた顔を引き締め、私は本格的に動き出した。
ナイフを十本ほど用意し、静かに呟く。
「……クローズド」
投げられた十本のナイフには黒い何かがまとい、スペードを目指した。先程とは違い、ナイフは一直線に飛ばず、悪魔を追い掛けるように飛び交う。動きそのものは目に見えないほど速いが、ぱっと見は生き物のようだった。
そしてナイフを操りながらそれとスペードを観戦していると、かすかな手応えが。数本がスペードの身体に傷をつけたのだ。
「っ……」
「スペードさん、もっと力を出して構いませんよ? あなたも言っていた通り、お互い楽しみましょう」
「…………魔女風情が……図に乗るな!」
スペードの目は一層紅くなり、幻か否か黒い翼が見えた。耳や歯も先程より尖ったように見える。
私より永く生きているというのに……安い挑発でもやってみるものですねぇ。
悪魔は眉間のシワを深くし、私を襲ってきた。
「ウォール」
玲華様が使った術の二、三倍の大きさと厚さの壁が、私の前に立ちはだかった。
そして、相手も力を少しずつ解放しながら攻撃してくる。
窓も開いていないのに豪風が起き、集中しないと一度でも瞬きをしてしまいそうになる。
流石……悪魔の中でもトップクラスなだけありますね。私も少し力を出さなければ。
攻防をしばらく繰り返していると、残り時間はもう五分を切っていた。
「クラウ! まだ取れないの!?」
「玲華様、アリア様の分はあなたが取って下さい」
「む、無理よ! アリアの強さを知ってて言ってんの!? あたしはガードしてるのが、限界っ!」
いつもは落ち着いている玲華様が焦る姿は実に滑稽——ゴッホン!……珍しいので、つい口角を上げてしまった。
だがそんな余裕も束の間、トラブルが起きてしまった。
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* * *
攻撃名が思いつかなかったー!!!
ダサくてごめんなさい!orz
かっこいいの思いつかなかったんですっ!!
2012.04.29