複雑・ファジー小説

Re: 黒魔女と契約者【コメ募集中!】 ( No.35 )
日時: 2012/11/17 10:28
名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
参照: 第一章「学院の日常」

チリンチリーン
「「「!」」」
 マダムが鈴と共に制止の声を掛ける。
 三人は、はっとしたように私の左手を見つめた。
「私の勝ちですね」
 私の手には赤い薔薇が握られていた。


「申し訳ありません!!」
「い、いいのよ、スペード」
 教室から帰ってきてからあの調子だ。スペードは土下座をし、額を床に擦りつけていた。
 そんな姿を、私と玲華様は呆れて見つめていた。
「……もう少し、手加減したほうが良かったのでしょうか?」
「……そうね。同情くらいはするわ」
 というか、アリア様が大変そうだった。
 はぁ……やり方が少々狡かったでしょうか?
 彼は立ち直りが遅いですから……アリア様、申し訳ありません。心の中でアリア様に頭を下げ、私は玲華様に奪った薔薇を渡した。
「一応勝ちましたが……命令通り、アリア様の薔薇は取ることが出来ませんでした。申し訳ありません」
「……そうね。ま、今回はあの悪魔スペードだったし、勝てただけで十分よ」
 それに、と玲華様は言葉を続けた。
「あの状況で目的の為に行動したことは買うわ。三人ともすっかり忘れていたもの」
 クスクスと笑うその姿は、勝ちという優越感に浸っていた。まるでゲームに勝った子供のような……いえ、子供ですが。玲華様は子供らしくない子供なので、つい。
 ——立ち直った(?)スペードさんは、玲華様と話していた私に近づいてきた。
「……クラウディア・トゥルーリ」
「はい、何でしょう?」
 声を掛けられたので振り返る。スペードは紅い目を光らせて低い声で、
「次はないと思え」
「ふふ、こちらの台詞ですね。ああ……それと、一つの豆知識を教えて差し上げましょう」
「……何だ」
 私が含み笑いをすると、気になるのかスペードは黙って聞く姿勢を取った。
「魔女は寿命が二百年を過ぎると、完全に人間の肉体ではなくなるんです。
いつまでも悪魔の下ではないのですよ。
——もしかしたら、悪魔が我々の下になってしまうかもしれませんね」
 最後に冗談じみて言うと、スペードは頭に血が上ってしまったようだ。
 私が伝えたかったのは、悪魔と魔女は同等だということ。それが伝わったのなら十分だ。
 私はにっこりと作った笑みを浮かべ、玲華様とお二人の前を去った。


 ——どうだったでしょうか?
 これが私と玲華様の日常。少々慌ただしいですが、これくらいの方が退屈ではないでしょう?
 そんな日常の中でも、たまには事件だってあります。これからはそんな危険についてきていただきますが、どうぞお付き合い下さい。


next→第二章「路地裏は殺人鬼の住家」>>39

  *   *   *

第一章終わったー!!
いやぁ、書いた書いたー(*´▽`)
これからも頑張るのでよろしくお願いしますorz
2012.05.04