複雑・ファジー小説
- Re: 【第二章開始!】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.42 )
- 日時: 2012/11/17 10:33
- 名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
- 参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」
木々に囲まれた森林の中、目の前には、屋敷というより城という方が相応しい——フォーマル氏曰く屋敷がそびえ立っていた。……というか、ぱっと見は古い建築物なので、タイムスリップしたようだ。
心中で様々な感想を述べていると、つまらなそうに見上げる玲華様が口を開いた。
「ここがロバート・フォーマルの屋敷……」
「立派なお城——いえ、お屋敷ですね。上條家の二、三倍の敷地です」
「チッ、行きましょ」
あ、また舌打ちを……。余計なことを言ってしまったようです、気をつけなければ。
私たちは奥行きの深そうな建物の中へ入っていった。
この屋敷には不釣り合いなインターホンを押すと、ドアはすぐさま開いた。
開いて下さったのは、橙色の髪が特徴的な女性。……どこかで見たような顔ですが、気のせいでしょう。約三百年も生きていれば似たような顔があっても何ら不思議ではありません。
私は少々感じた違和感をあまり気にせず、赤い絨毯の道を進んだ。
「ようこそ、フォーマル邸へ。来てくれてありがとう、上條玲華さん」
「こちらこそ、お招きいただき光栄です」
ロバート様はワイルドに髭を生やした中年男性だった。
今は昼の十二時、もう昼食の時間だ。こちらが何も食べていないことを察したのか、自身が食べたいだけなのか、ロバート様は料理の並べられたテーブルに玲華様を誘導された。
始めは玲華様に目を向けていた彼も、やがて控えているを私の存在を気にし始めた。
「そちらのお美しい方は誰かね?」
「恐縮です、ロバート様。私、玲華様の契約者のクラウディア・トゥルーリと申します」
「クラウディア……響きの良い名前だ。契約者、ということは人間ではないんだね?」
「はい。黒魔女です」
こんなことは隠しても仕方ないので正直に答えた。
——が、ロバート様がピクリと反応したのは見逃しておけない。小さな反応だったので玲華様はお気づきでないようですが、警戒しておくに越したことはありません。
とは言っても、彼自身に大した力はないようですが。問題は——
「では、そちらの方は……?」
そう、先程からロバート様の後ろに控えているあの女性。私たちをここまで案内して下さった方だ。
彼女には人間以外の気配があるような気がする。どこかで感じたことのあるような気配だが、記憶を辿らせてもその正体はわからない。
彼女は綺麗な笑みを浮かべ、丁寧に頭を下げた。
「申し遅れました、秘書のミシェル・リマージュと申します。今回はよろしくお願いします」
「今回、と言うと、やはり何かあったんですね? ロバート様」
敬語を使う玲華様に新鮮さを感じながら、私はお二人の会話に耳を傾けていた。一字一句、聞き洩らさぬように。
「実は最近、路地裏で物騒な事件が起こっていてね……」
「ほう……犯人に心当たりは?」
玲華様が興味深そうに目を細める。
「これはあくまで噂だが……ここよりずっと奥の森に住んでいる、少々狂った男が犯人かと……街の住人は言っていたよ」
「その男性の名はダニー・ベレッタ、年齢は三十二、独身の一人暮らしです」
先方は事前に調査をしていたらしい。ミシェルさんが淡々と調査書を読み上げた。
その書類からわかったのは、先程読み上げられたように名前、年齢、親族、職業、引きこもりの少し狂った人格だということだけだった。
——要約すると、重要なことは何一つわかっていない。
「君たちの宿はこちらが責任を持つ。よろしく頼むよ」
「任せて下さい。この依頼、必ず解決してみせましょう」
……結局、使い走りは私の役目なのですがね。
胸に刻まれた契約の印を忌々しく思いながら、私は密かに溜め息をついた。
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* * *
つ、疲れた……
いつもは携帯のメールに書いてからパソコンに送信するっていうちょいとめんどくさいことをしているのですが、今日はパスワードの再確認とかいって受信ボックスが見れないので直に打ち込んでいます。
皆さん肩こらないんですか??
……あとがきなのに長文すみません。
2012.05.12