複雑・ファジー小説

Re: 【キャラが減りました!?】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.52 )
日時: 2012/11/17 10:39
名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」

 翌朝、ロバート様と朝食を共にした玲華様は、あることを掛け合った。
「ロバート様、一つ頼みがあるのですが……」
「何だい? 出来ることなら何でもするよ」
 控えめに申し出た玲華様に、ロバート様は温かい笑みで答えた。
 それを確認した玲華様は、片手をご自身の口の隣に持って行き、ロバート様に耳打ちをした。
「……!」
 ロバート様の落ち着いた目が見開かれる。
「……協力、お願い出来ますか?」
「ああ、勿論」
 一体何を言ったのでしょうか……。
 ロバート様は複雑そうな顔をして頷いた。


 ここは太陽が沈んできた街の住宅街。
 私は少女の突拍子もない発言にただただ呆れていた。
「——そういうことですか…」
 私の目には、少し古びた服を着る玲華様のお姿が映し出されていた。
 ——その服を着た理由は事件にある。昨日はまとまらなかった考えも、一晩立てば大分整理できた。被害者の名簿を作ったところ、共通点が見つかったのだ。その共通点とは『金色の長髪』『女性』の中でも八歳から十四歳の『少女』限定だった。だが見た目は大体十二歳程の少女ばかり。玲華様は小柄な方なので、そう見えなくもないはずですが——
 茶色でまとめられたストリート服は気品の漂う玲華様とはミスマッチしていた。
 ……はっきり言ってとても不気味です。
「……今、失礼なこと思わなかった?」
「いえ、やはり玲華様はどんなお姿でも気品は隠せない故、とても不気味——いえ、違和感を感じてしまいます」
「………………あんたの心臓(命)がどうなってもいいの?」
 玲華様は至って真剣な顔で私を脅した。
 それを言われてしまえば私は手も足も出ない。それをわかっていて言うのだから、玲華様は意地悪なお方だと思う。
「はぁ……何故あなた自身がそのお姿を?」
「だって……囮になるにはあたしがこうするしかないじゃない」
 胸を張る玲華様に、私は再び溜め息をついた。
 そんな替えはいくらでもいるでしょうに……。あなただけの面倒が増えるのは勝手ですが、それが最終的には私に回ってくるのをもうそろそろ学習していただきたいものです。
 そんな不満が出そうになったが、ここは喉までに留めておき、私は意見を変えてもらえるよう優しく呼び掛けた。
「玲華様、お言葉ですがあなたが囮になるのは少々危険かと。
条件に合う方は他にもいることですし……」
「そしたらまた被害者が増えるかもしれないわ。
あたしだったらあんたが助けてくれるし、絶対に死なないでしょ?」
「…………」
「よし、完璧っ」
 金髪ウィッグをすれば、もう殺して下さいと言っているようなものだった。
 玲華様は堂々と足を進める。私もついて行こうとすると玲華様は足を止め、顔の前に掌が出された。私も反射的に足を止める。
「、何でしょうか?」
「あんたは離れて歩きなさい。
来るものも来ないわ」
「……かしこまりました」
 暗くなる道に一人の少女がぽつり、黒い影を連れていた。
 ——そのまた後ろにいる狂人を誘っているように。


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もうすぐ戦闘シーンかなぁ…♪
リクで募集した魔法がやっと使えます!

2012.05.23