複雑・ファジー小説

Re: 【キャラが減りました!?】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.59 )
日時: 2012/11/17 10:43
名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」

 もう一時間は歩いている。
 ……というか、微かな気配がずっと背後についているのだが、手が出せない。
 何なんでしょうか……?私の存在に気づいている?それともただ迷っているだけか……。
 それにこの気配もおかしい。この私が気を張っていなければ読めない気配など、とても人間にはできません。
「月夜に輝く金髪……大きく無垢な瞳…………壊したい……壊したい……」
 男の小さな声が響く。狂人、ですか……確かに言動が奇妙ですね……。
 どう相手しようか考えていると、男は突然ピタリと動きを止めた。
「…!!」
 後ろから見れば何もしていないように見えるが、玲華様は目を見開いた。
 何があったのでしょうか……。
 様子を伺っていると刹那、男は足に力を入れた。
 キイィン!!
 金属のぶつかる音が静寂の中に響く。刃物が交じり合って生まれる火花は、暗闇で唯一の光となっていた。
 人間の一人くらい、手間は掛かりませんが……。
 ただ一つ、気になる点があった。マントが揺れる度に目につく、首筋の生々しい傷。近くで見ると、こちらまで痛いような感覚に陥ってしまう。そんな傷が気になった理由は特になく、私は混乱するばかりだった。
 ——それに、男は引きこもりという割にはしっかりとした体格をしている。
 目の前の人物は、本当に『ダニー・ベレッタ』という人物なのだろうか?
 もちろん誰も彼の顔を知っている者はいないのだから確認する術もない。私の根拠のない勝手な推測だが……
「はぁ……はぁ……壊、す……」
「……玲華様、お下がり下さい。後は私にお任せを」
 玲華様は青い顔をしながら首を縦に動かした。
 依頼は犯人を捕まえること——殺さない方が良さそうですね。それからは警察に任せましょう。
 私は空いている手で男の手を掴むと、背負い投げをした。無論、男は受け身を取らずに背中をコンクリートに打ち、身を丸くしていた。
「……終わった、の?」
「まともに打ちましたからね、しばらくは立てません。
あとはヤード(警察)に任せれば大丈夫でしょう」
「そうね。お疲れ様、クラウ」
 仰向けに伸びた男に背を向け、緊張を解くように息を吐いた玲華様を私は見下ろした。やはり、どんなに背伸びなさっていても所詮は一般人でありまだ子供。余計な負担を掛けてしまったようです。
 私も彼女に釣られてすっかり肩の力を抜いていると、気配の変動に気がついた。それはまさに先程の男のもので——私たちの予想を覆した姿をしていた。
「ひっ……!」
 玲華様にはその姿があまりにも衝撃的だったのか、顔を青くして小さな悲鳴を上げた。
 これは……酷いですね……。
 正直、こんな身体を見たのは初めてで、私自身も言葉を失っていた。
 だがそれよりも玲華様の身の安全が優先された。
「玲華様、私の後ろに……。間違っても前になど動かないで下さいよ」
「わ、わかってるわよ」
 玲華様は怯えながらも素直に従った。


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  *   *   *

さて、その男の姿とは——?

……てなところで区切ります。
いつも大体文字数が決まっているのでねっ、大人の事情ってやつさっ←違う

2012.05.26