複雑・ファジー小説
- Re: 【キャラが減りました!?】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.67 )
- 日時: 2012/11/17 10:50
- 名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
- 参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」
「——はぁ、はぁっ、来るなぁ……」
彼はズボンのポケットから白いチョークを出し、何かを書き始めた。それはとても奇妙な光景で、私たちには身体は狼で顔だけ人間の不思議な生き物が文字を刻んでいるようにしか見えない。その生き物とはあの男で、つまり、服を脱いだ男の身体は獣のような毛に覆われていたということだ。しかもその獣の身体にはいくつもの傷がある。
半獣ですか……少々厄介なことになりましたね。
「ダニー・ベレッタ、大人しくし——!?」
「ヒャハハハハハ……」
私は力無く笑う男を凝視した。ただ男に触れようとしただけなのに——透明な壁が、私を拒絶していたのだ。痺れる右手を見つめ、再び透明な壁にペタリとつける。電流のようなものが腕にも走り、ようやくこの壁が術だということに気がついた。
その真下を見れば、先程書かれた記号たちが。そしてその意味にいち早く気づいた私は靴の裏で文字を消した。
男はその間に走る。
犯人を逃がすわけにはいかない。私は胸に手を置き、深呼吸をした。静かに吐き出された息は炎を生み、それは見覚えのある動物の形に変化する。その異形な炎は私の前に留まった。
「火鳥風月、あの男を追いなさい」
赤ん坊より少し大きめな炎の塊は、男の後を追った。
「玲華様、私たちも追いましょう。
火鳥風月が火玉を残してくれていますから」
「えぇ」
私たちは火鳥風月が残してくれた火玉たちに導かれながら、男の元へ急いだ。
——バサバサと翼を上下する音が耳に届く。
火鳥風月はあるところで止まっていた。
私はそれを腕に乗せて、質問をする。
「ダニー・ベレッタは見失いましたか?」
火鳥風月は肯定した。
小規模な魔法でもたかが半獣を見逃すだなんて、なんて失態……はたまた、彼の力が想像以上に強いのか……。どうか前者ではないのを願いたいです。
「……申し訳ありません、ダニー・ベレッタを見逃しました」
火鳥風月の魔法を解いた私は、走って息を切らした玲華様にひざまずいた。
「でも、今回は有力な情報を得たわ」
「えぇ。まず、彼は半獣ですね。それなら全ての出来事に筋が通ります」
あの妙な気配や日常生活に反した体格からは、人間味が伝わってこない。少々混乱していたこともあり、頭がスッキリした気がする。軌道に乗って犯人を追いたいところだが、これからに備えて今日はもう休みたいため、私は玲華様にお休みになるよう誘導した。
「それに、彼には火鳥風月を通して発信機のようなものをつけておきました。
明日、もう一度出直しましょう」
「そうなの? ……じゃあ、今日はもう帰るわよ」
「えぇ……♪」
夜中の二時、もう私の理性も限界です。強烈な睡魔には人間も黒魔女も勝てないのですから。
私は気を抜いたせいか、欠伸を出してしまった。
「ふぁ……っ」
「…………あんた、ただ自分が眠たかっただけでしょ」
「……………………バレました?」
私は欠伸したところを見られて内心照れながらも、玲華様には苦笑して見せた。
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* * *
クリスタル様、以前お聞きした魔法使いましたよ!
多分クリスタル様の思い描いた魔法とはかけ離れているでしょうが…;;
早くリクで応募した魔法も使いたいです…!
2012.05.30