複雑・ファジー小説
- Re: 【参照400バンザイ!!】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.82 )
- 日時: 2012/11/17 10:53
- 名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
- 参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」
眠りから目覚めた玲華様は、早朝からダニー・ベレッタの家へ向かった。
——古びた褐色の屋根と灰色の壁に密封された家には、草や周りにある植物のつるが絡んでいる。そんな家に住んでいるのがダニー・ベレッタ、今回の事件の犯人と思われる人物だ。
私たちはその男に詳しい話を聞くため、この場に来た。のだが——
「……玲華様」
「何? 早く入るわよ」
足を進めようとする玲華様に、私は手を出した。
彼女もピタリと動きを止め、途端に眉をひそめて私を見つめる。私は玲華様を押さえる腕に力を込めた。
「なりません、下がっていて下さい。
出来れば守りの魔法もご自分で」
「は……?? あんた何言ってんのよ」
「中は危険です。私が全て始末します」
玲華様を後ろに追いやり、私は出来る限り気配を消した。
先程私の鼻に掠った匂いは正く血液。あの半獣が人を襲っているか、はたまた喰らっているか……。何にせよ、嫌な予感がしてならない。
そんな胸のざわつきを感じながら、私は自身を落ち着かせるために小さく深呼吸をする。
そしてドアノブを掴み、私は壊れるかと思ってしまうほどの力でドアを勢いよく押した。
バァンッ!
「……!?」
目にした光景は、私の想像を上回る状況だった。
後ろにいた玲華様も、これには言葉も出ないらしい。
「ぐっ……ハァッ、ッッ!」
柱から吊されたロープの輪。
そこに首を通す男。
明らかに首吊り自殺を図った行為だった。
「っクラウ!!」
玲華様が叫んだことで私は固まっていた身体を動かした。
ポケットからナイフを出してロープを切る。重力に従って床に落ちた男は、喉を押さえながら空気を一生懸命取り入れていた。
「ケホケホッ、コホ、ぅ……」
「玲華様、もう近づいても構いません。
彼には事情聴取をしましょう」
「……あんたの場合は事情聴取じゃなくて拷問の間違いじゃない?」
玲華様は家に近づきながら、ふと浮かんだ疑問を口に出した。
私は満面の笑みでその疑問にお答えした。
「どちらも大して変わりませんよ」
「……そう、ね」
ぎこちなく返事を返した玲華様は、すぐに男に目を向けていた。
何という切替の早さ。正直言うと関心してしまった。……人間ごときに凄いという感情を持つだなんて、私も随分と落ちぶれたものだ。
自身を嘲笑いながら、男の汚い髪をわし掴みした。
「今更自殺を企てるなど……もっと早くに済ませていれば楽でしたのに。
やはり人間……いえ、半獣は馬鹿ですねぇ」
「オレは犯人じゃないっ! ヤツに頼ま——がッ!!」
「「!!」」
血が目の前で飛び散る。その返り血は私や玲華様の服についた。
——後ろから、槍が男の脳と心臓を一突きしていたのだ。
私はその槍が出てきた所に攻撃してみたが、手応えはない。そして気づいた。私の嫌な予感は外れてなどいなかったのだと。こんな手強い敵に遭遇するなんて運がない。
「ぐ…はぁ゛っ!」
見えない敵の気配を探ることに気を取られていたら、槍は引き抜かれていた。尋常ではない速さで血溜まりが広がり、男はすぐに意識を失い始めた。
慌てて玲華様が彼に近づく。
「あんたが犯人じゃなかったら誰が犯人だっていうのよ!
死ぬ前に答えなさいッ!」
「……ょ、」
「え……? 聞こえないわ、もっと大きな声で——」
玲華様は最後の言葉を聞こうと必死になっていた。耳を彼の口の前に持ってくるまでに。
だが彼はそんなことをしなくとも、先程の何倍もの声で言ったのだ。
「——ま、じょ…………」
* * *
更新が少し遅くなってしまいました;
約二週間後にはテストで小説が進まないというのに……。
2012.06.04
- Re: 【イメージ画あります!!】黒魔女と契約者【コメ下さい!!】 ( No.83 )
- 日時: 2012/11/17 10:55
- 名前: 灰色 ◆/6D66bp.xk (ID: FtPJcOXY)
- 参照: 第二章「路地裏は殺人鬼の住家」
「——ま、魔女ですってッ!? どういうことよ、ちゃんと説明して!」
玲華様は男を揺さ振るが、応答はない。
私はそっと少女の肩に手を降ろした。
「玲華様、無駄です。その男——ダニー・ベレッタはもう……」
「くッ……」
玲華様は拳を硬く作り、歯を強く食いしばった。
そしてフォーマル邸に帰ってきた私たちは、またもや事件の振り出しに戻っていた。今までの数日はなんと時間の無駄だったのだろうと後ろ向きになる。
だが前に進まないといけない。——が、やはり気は乗らなかった。
「さて、どうしましょうか……」
「どうしましょうかじゃなくて、あんたの同胞の仕業でしょ!? なんか心当たりとかないの?」
「あったらこのように悩んでおりません」
何しろ玲華様と契約を結んでからは友とは一度も会っていない。学院内にいるかと思われたが今の所いなかった。そればかりか天使や悪魔、白魔女などと馴れ馴れしくする羽目に…………あ。
「……彼は魔女と残しただけです。白魔女とも取れるのでは?」
「そうね……でも、人を助けるための能力を誇りとする白魔女がこんな残酷なことするかしら?」
「…………」
確かに、白魔女の力は治癒などの生に携わるものを主にしている。その趣向に背く殺人になど手を貸すはずがない。
納得してしまった私は黙るしかなかった。
「振り出しに戻ったようだけど、もう魔女が犯人だということはわかってるの。ちょっと休んで冷静に考えてみましょ」
「申し訳ありません……」
ここらへんは流石と言うべきか、玲華様は私が疲れていたことを見抜いていたらしい。弱音を吐いてしまえば、頭痛が酷いので早く眠りたい。思考が回らないのだ。
玲華様に謝ったあと用意された部屋に来た私は、深い眠りについた。
『————ん、——ゥディ——ん』
声が途切れ途切れ聞こえ、それと共に身体を揺すられる。なんとなく心地好いと思った私は、しばらく目を閉じていることを決めた。
——誰ですか……リザ? フィー?
回らない頭でそんな疑問が浮かんだ。
友人が何故私の部屋にいるかなんて些細なこと、今の私には気づけない。
「クラウディアさん、起きて下さい」
「……ッ!?」
一瞬で目が覚めた。
私を優しく揺さ振っていたのはロバート様の秘書であるミシェル・リマージュさん。私の友人ではない。
混乱した頭はすぐに冷静になり、次の瞬間には目の前の彼女に作り笑顔を向けていた。
「起こして下さってありがとうございます。玲華様はまだ……?」
「お休み中ですよ。じゃあ、私は朝食の準備をしてきます」
彼女はそう言った後、静かにドアが閉じた。
「…………」
おかしい……なぜ秘書と魔界の友人を間違えたのでしょう。
そんな疑問はすぐに解決された。
答えは一つしかない。
next→>>90
* * *
中途半端ーっ!!
完璧しくじった!でも駄目なんだよ、いつも守ってる文字数を越してしまうんだ!
……って言い訳を書いても仕方ないですよね。
まぁここは敢えて気になる終わり方にしたということで!
Q.クラウディアはなぜミシェル・リマージュと魔界の友人を間違えたのでしょうか?
2012.06.07