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　ミシェル・リマージュは私や友人たちと同じ匂い、気配を持っている。
　……ということは、言わずともわかると思うが、彼女は私の同胞——黒魔女なのだ。
　これは今回の事件にも繋がる。人間には不可能だった犯行は半獣が行っていて、その彼を従わせるにはそれ以上の力を持つ黒魔女にこそできるのだ。恐らく彼が犯人だということを街に流したのは彼女。彼のあんな身体を目のあたりにしたら、誰でも納得してしまう。
　私は一気に謎が解けた後の爽快感に浸っていた。
　ドンドンドンドンドンッ！
「！　……ロバート様ですか？」
　明らかに人間の気配だ。ロバート様がここにくる理由などないが、万が一。一応この屋敷——街で一番権力を持っている方の名前を出した。
　だがやはりと言うべきかその予想は外れていた。彼女はスカートをひらひらと踊らせながら部屋に入ってきた。
「あたしよ、クラウ。何であんなおじさんと間違えるのよ」
「すみません。先程から考え事をしていたもので、そちらに気を取られてばかりいたんです」
「……事件の鍵でも握った？」
「…………」
　この方は超能力者エスパーではないのだろうか。私の思っていることをそのまま言い当てることがある。
　……それとも、私がわかりやすいだけでしょうか？
「そうなのね。早く言いなさい。犯人は誰？」
「まだ確定ではありません。ただ、目安はつきました」
　そして、私は先程の出来事を玲華様に話した。


「——じゃあ、ロバート様はどうなの？　秘書が黒幕ならその主人のロバート様だって立場が危うくなるわ」
　そう、この事件の犯人(の推測)は二つのパターンに分かれる。
　一つはミシェルさんの独断専行。もう一つはロバート様とミシェルさんが共犯であること。どちらにせよミシェルさんが犯人なのはほぼ確定だ。
　だが、ロバート様が関わっているか否かでエンディングは全く異なる。もしパターン２『ロバートとミシェルが共犯』だとしたら、ロバート様は裏切り者となる。誰をというと、今私たちの通っている創設者、理事長を裏切ったのである。そんな事実が露見したら周囲にはあらぬ噂が流れるに決まっている。
「はい。ですからまだ確定してはいないと申したのです」
「そんなのどう確かめれば……」
「尾行、しかないでしょうね」
顔が瞬時に曇る。やっぱり……と呟き、玲華様は俯いた。
「……相手は黒魔女なんでしょ。そんなことしたらバレない？」
「そのようなご心配は必要ないかと。彼女は人間と黒魔女の気配が混ざっていました。恐らくまだ完璧に存在が人間から離れていないのでしょう。
私より力が弱いのは確実です」
「あんたがそう言い切るならそうよね……」
　玲華様は何度か頷き、床に向けていた視線を私に変えた。私のことを信用し、納得して下さったようだ。
「事件の決行は深夜……。クラウは秘書を見逃さないようにしなさい。動いたらすぐに追うわ」
「かしこまりました」


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やっと更新できました…！
多分次は遅くなります……なんか鈍っちゃって；；
あと修正もちょっとやろっかなー…なんて。
頑張るぞー

2012.06.22