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７
昔々ナザレという街に８つも年の離れた兄妹が住んでいました。優しく聡明な兄と小さく愛らしい妹を街の人々は暖かく育ててくれました。二人には親がいない為生活は楽ではありませんでしたが、ささやかな毎日の食事に満足し、とても幸せだったのです。

そんなある日妹は病気にかかってしまいます。最初は皆ただの風邪だと思っていたのですがだんだん病状は酷くなっていくばかり。町医者に見てもらったりもしましたが難病の宣告をされただけです。
このままでは妹が死んでしまう。どうにかして設備の大きな立派な病院に入れないと。でもそのためにはお金が必要です。
セスタ保持数の高い者が十三聖使徒教団に入ると礼金が貰えるーー。
そんな噂を聞いた14歳の兄は６歳の妹を救うため、キリスト教の神父になると言って町を出て行きました。

三年後。17歳になりイスカリオテ支部の神父としてナザレ地区に赴任してきた兄を、大きく成長した妹は出迎えます。教団から送られてきたお金のおかげで妹は立派な病院に入院しとても健康に育っていたのです。
神父になった兄は町外れに木造の協会を建てました。ボロボロの小屋からそこの三階に移り住んだ二人は神への信仰溢れた毎日を楽しく過ごすことができました。

でも幸せというのは儚く長くは続かないもの。
戦争の為、魔術用員として召集をかけられてしまった兄は再び教団本部へ戻ることになってしまったのです。
「俺は戦うために生まれたんだ。いつか十三聖使徒まで登りつめてやる」
「うん、頑張ってね!」
何も知らない妹は笑顔で彼を戦地へと送り出します。


そして三日後ーー。
「………嘘でしょ?」

彼女の元に兄の訃報を知らせる手紙が届けられました。