PR
複雑・ファジー小説
- Re: かみさま世界[コメくださいっっ] ( No.16 )
- 日時: 2012/05/06 12:09
- 名前: 六花 (ID: ZFblzpHM)
見慣れない風景。
それはとてもとても美しい世界。まるで楽園のような。
となりをみれば、優しそうな男女がいた。
知らないはずなのに、なぜか涙が出てくる
_________なぜ?
わからない。…苦しい。
名前を呼びたいのに。手を伸ばしたいのに。
…思い出せない。
でも、きっとこれは。
悲しみ。ずっと目を向けなかった、思い出そうとしなかった、これは。
頭の中で何かがはじけた。
あぁ、わかってしまった。これは、夢だ。
だってこの人たちは、もう。
涙が頬を伝う。
嗚咽をかみ殺し、ゆっくりと息を吸う。
傍らにいる男女を見ながら、言葉を吐き出す。
「お父さん…お母さん…」
遠い記憶の父母は、優しげな笑みでこちらをまっすぐ見つめていた。
不意にその瞳が揺れ、悲しげな光がよぎる。
『____________』
結は目を見開く。
声は聞こえなかった。けれど、唇がつむいだ言葉は。
ごめんなさい、と。確かに、そう。
ドクン、と心臓が跳ねる。
まだ足りない。私が思い出すべきことは、まだもっとほかにも。
どうして。どうして思い出せないの。
とても、大切なことだったのに。
焦りが心を支配して、視界が黒く染まりかけた__________そのとき。
PR