複雑・ファジー小説

Re: かみさま世界 ( No.30 )
日時: 2012/05/22 17:59
名前: 六花 (ID: 8.g3rq.8)





「うぅ…ん…。これでも、ないなぁ」

目の前には、見上げるほど積み上げられた書物の山。
結の周りには、そこから抜き取られた本やら、巻物やらが散乱している。



今、結は社の離れにある書庫にいる。

大神と夜神の関連を調べていたのだ。



社には大神を祀っている、という結の記憶違いの可能性もあったのだが、さすがにそれはなかった。



「…ていうか、それがあったらすごい問題だよね…」

もう何年もここで巫女をやっているのだ。
そんなことでもあったら、もう前代未聞というかなんというか。



手にしていた本を、バタンと閉じる。

「わっかんないなぁ…」
呟いてから、結は目を細める。




神は人々に平等な加護を与えるが、それ以上でも、それ以下でも、ない。
ましてや、ただの人間の苦しみを取り除くだなんてこれこそ前代未聞だ。

「じゃあ、なんで…」






刹那、結の体がビクリとこわばる。









———————————気配が、する。









これ、は。