複雑・ファジー小説

Re: かみさま世界《第三章突入っ!!》 ( No.70 )
日時: 2012/06/11 18:24
名前: 六花 ◆6qjBq4Z8HU (ID: noCtoyMf)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode



「…はぁ、って…」

呟いて、陽が苦笑する。



「あ、…ごめん、なさい…」


言いながらも、結は混乱していた。



どういう事?

———神が、神からわたしを、守ると。

意味が分からない。頭の中がぐちゃぐちゃだ。


そんな結を見やり、陽は困ったように瞳と同じ色の髪をかき回す。


「説明すると長くなるんだよ。今、そんな時間無いからさ。…まぁ、命が狙われてるってことだけ、わかっといてよ」

そう言うと、彼は立ち上がった。
そのまま障子を開け、去ろうとする。



それをぼんやり眺めていた結は、ハッとして慌てて立ち上がる。

「ちょ…ちょっと待ってください!」

「ん〜、何?」

まだ、聞きたいことが山ほどあるのに。

結が呼び止めても、神は止まらず、そのまま歩き続ける。


朱い鳥居の前でようやく立ち止まると、結のほうをかえりみた。

「また会うから、その時に答えたげるよ。」

あ、あと、と彼はスゥと目を細めた。





その瞳には、先ほどまでのふざけの色はない。

反射的に体がこわばる。

「ここから、絶対に出るな。出れば」






命の保証は、ない。




冷たく、酷薄な言霊に、背筋に氷が滑り落ちる感覚を覚えた。



「—————…いい?」

厳かな神の問いかけに、結は無言で頷いた。


すると神はほっとしたように嘆息し、朱塗の鳥居を、くぐる。





————刹那。


瞬きひとつで、神の姿は掻き消えた。