複雑・ファジー小説

Re: 世界を救う1人の少女の物語◆コメ募集!! ( No.24 )
日時: 2012/05/05 16:39
名前: 春嵐◇arashi (ID: Ku3ByRAK)
参照: タイムトラベラー

…結局、そんな事を黒川に対して思った自分がバカだと思った。
素早く決着を着けようと勢いをつけたほんの一瞬。
…そんなほんの一瞬のチャンスを、優等生の黒川が見逃すハズ無かったのだ。

——素早く黒川が無防備だったお腹を突いてきた。

体のどこかを突かれたら、試合は負けになる。

「ピピーッ!終了!」
その瞬間教官の笛の音が響き渡った。
「えっ…???」
その瞬間私は何がどうなっているかわからなかった。

私たちを囲むようにして、いつの間にか人だかりができていたのだ。
「瑠奈ー!!あんたッ!すごいよ!!」
聖良が興奮を抑えきれない様子で叫びに似た声を上げている。
他の生徒も同じようなことを言っている。

「えっ…?なんかみんな勘違いしてない…?」

私、黒川に負けたんだけど…?
いや、当たり前だけど…

「おい!お前ら!試合はまだ終わっていないぞ!礼をしてないだろ!」
そんな声をかき消すように教官の声が響く。

「礼ッ!」
黒川と向き合って礼をする。

…顔を上げた瞬間、目が合ってしまった。
う…すごい目つきで睨んでる…。
「あの…なんかすいませ…」

そう呟くだけで精一杯だった。


ふっと力が抜ける。
「えっ!ちょ…瑠奈…!るな…る…!!」
聖良や了やいろんな人の声がどんどん遠のいていく…。

Re: 世界を救う1人の少女の物語◆コメ募集!更新! ( No.25 )
日時: 2012/05/05 18:31
名前: 春嵐◇arashi (ID: lkXh3Ruz)
参照: タイムトラベラー

…ここは何処…?
真っ白な天井。
私の上に乗っている物体も真っ白。

あ。
もしかして、ここは保健室??
それで私が寝ているのはベッドか。

私は体を起こしてみた。
頭にズキっと痛みが走る。
「…ってか何で、こんな所に…??」

そう呟いた瞬間、ベッドの周りのカーテンがシャッと音をたてて開いた。

「ああー!瑠奈!よかった気がついたんだー!びっくりしたんだからぁ!いきなり試合終わったと思ったら倒れちゃうし…」

「聖良!ずっと居てくれたの…?ありがと—!!」
私は聖良に抱きついた。
「こらこら落ち付けって。ってかそれより瑠奈すごいじゃん!」
「それさぁ、さっきからみんなすごい凄い言ってるけど、そんなにすごいの??私負けたんだよ?」

そう。私は黒川との試合を終えて、倒れたのだ。

「えっ何でって…そんなことも知らなかったの??」

聖良の話によると…
黒川は今まで魔剣術の練習試合で負けたことが無かったそうだ。
優等生の黒川でも、それは凄い記録だそうだ。

…だがそんな記録だけではなかった。

黒川は全ての試合を、最初の1撃で終わらせていたのだ。
…つまり、相手に攻撃の余地もないまま試合を終わらせていたという訳だった。

「だから瑠奈はそんな黒川の記録を破ったんだよ!だってあんなに長く黒川と戦った生徒なんて、この学校に居ないんだから…!」

「っえええぇぇぇ!そうだったの?!」

あまりにも驚きすぎて保健の先生に「静かに。」と注意されてしまった。


———そっか。
私が黒川の記録を破ったのかぁ。
だから黒川はあんなに私の事を睨んで……あ。


私は心に1つ引っかかっている事があった。
——私が倒れる前、黒川と礼をして目が合った時…

———彼の目がキラリと光った気がした。

…まぁ気のせいかな。

それより、黒川の記録を破ったことが、何だかとても嬉しいような、誇らしげな気分だった。


———第1章 完