複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『世界は・・・。』 ( No.14 )
- 日時: 2012/05/08 19:20
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode
------------あれはちょうど2年前、俺が16歳の時だった。
俺にとって初めて、大切と思えるような人が出来た。
それは女性。俺には昔からの幼馴染がいた。
------------彼女の名前は『多成 瑞 (たなり みず)』。
小学生の時まではずっと一緒にいたのだが、俺が引っ越すことになり、結果離れ離れになってしまった。
もう会えないだろう・・・と思っていたが、奇跡的に同じ高校だったことが分かった。
最初は気づかなかったが、よく見ると彼女の小学生の時の面影がうっすらと残っていた。
だが、やはり外見は変わっていた。
以前よりも大人びていて、出会ったときはなぜか戸惑った。
まぁ・・・自分も変わってしまったのだが。
久しぶりに会うと、小学生の時は意識したことなど全くなかったのだが・・・
-------------大人の彼女を見て、不覚にもときめいてしまった。
小学生のころは短髪であったのだが、長いストレートの綺麗な黒髪を背中辺りまで伸ばしており、
顔つきはどちらかというと、『大人』というよりは『可愛い』と言った方が正しいだろう。
・・・最初は正直、どんな顔をして話せばいいか分からなかった。
が、明るく、前向きな性格は全く変わっておらず、依然と同じ感じで話すことが出来た。
色々話すことが山のようにあったため、話題には困らなかった。
昔話もしたし、離れた後の事をお互いに話しあったりもした。
久しぶりに気が抜けるような感じがして、何も気にすることなく話したのは本当に久しぶりかもしれない。
小さい時から人間関係で辛い経験をして、他人を信じることに抵抗を感じていた俺にとって、
彼女は唯一、俺が安心して喋れる相手ともいえる。
-------------そうして、楽しい日々を過ごしていたある日、俺は自分の気持ちに気づいてしまった・・・。
・・・・・・・・ああ、俺は彼女が好きなんだなぁ・・・・・と。
ただそれだけだった。
どこに惚れたのかと聞かれれば返答に困るが、きっと俺はやっと見つけられたのだろう。
信用できるかもしれない・・・唯一の人に。
今思えばなぜ自分は気づかなかったのだろうと呆れる。
こんな近くに・・・素敵な女性がいたことに気づかない自分に。
まぁどうであれ、俺は初めて人を好きになった。いわばちょっと遅い初恋。
そして何よりも・・・・初めて夢中になれる事を見つけられた。それが本当にうれしかった。
-------------だが酷な話だが、それでも俺は18歳になったらいなくなろうという考えは変わらなかった。
やはりいくら好きになった人とはいえ、今までの経験上、簡単に信じることは出来なかった。
あくまでも『信頼できるかもしれない人間』になっただけで、まだ『完璧に信頼できる人間』になったわけではない。
無論、彼女は幼馴染だ。彼女も俺もお互いの事はよく知ってる。そんなことは分かってる。
----------------だけど・・・今までの経験・・・『裏切り』という残酷な言葉がどうしても頭から離れない。
・・・・・・自分の心を開き、相手を許すのが怖かった。
だからある日、俺は自分の気持ちに、考えに正直になり、残酷な言葉を彼女に伝えた・・・。
----------------『俺は18歳になったら、この世からいなくなるかもしれない。』・・・・・と。