複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『伝えたい・・・。』 ( No.21 )
- 日時: 2012/05/14 20:04
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。
------------言霊を受け取ったはいいが、一体どう話せばいいのだろう。
いきなり言っても伝わないかもしれない。そもそもこれ、どうやって使うんだ?
『心で話しかけるがいい。それで向こうに伝わるからな。』
・・・心で? ・・・・やってみるか。
届けッ・・・・瑞。返事をしてくれ・・・!!
『・・・・み・・・ッ・・・や・・・?』
・・・かすかに聞こえる? そうだ、俺だ!! 聞こえるか!?
『・・・・・ッ・・・聞こ・・・え・・・・るよ・・。』
少しずつ声が聞こえるようになってきた・・・。
瑞の声を聴いたのは1年ぶりか・・・。俺が・・・ずっと聞きたかった声だ。
・・・・・くそ、それにしてもどう言えばいい!?
せっかくこうして繋がっているのに・・・。
自分のありのままの言葉を上手く伝えられない・・・。
どうすればいい・・・?
『----------言葉を綺麗に伝えようとするな。思っているままに伝えればいい。』
思ってるまま・・・・・それが分からないんだよ。
そう言われてもどう言えばいいのか・・・。
『-----------お前が伝えたかったのはなんだ、瀬谷幹也!! ありのままに伝えてみろ!!』
・・・・・ありのままに・・・・・?
俺が伝えたかったのは・・・・これだけだッ!!!!
『-------好きだ瑞ッ!!! 俺は・・・・お前が好きだッ!! 好きなんだッ!!!』
これ以上なくシンプルで、これ以上になく潔い言葉であった。
気持ちのこもった・・・・きれいな言葉だった。
『俺は・・・・お前に会いたいッ・・・!!
今からそっちに行く。だから----------』
『だめ・・・だよ・・・。生きてよ幹也!!!』
声はさっきよりはっきり聞こえた・・・。
だけど・・・なぜだ!? なぜ俺に生きろというんだ!?
『・・・・私は・・・幹也には生きてもっと知ってほしい。
この世界にはまだ・・・・希望があるんだって。』
何を言うんだ。希望なんてあるわけないだろ!!
もう俺は・・・・分かったんだ。だからもういいじゃないか・・・。
『幹也・・・・私ね、昔からずっと見たかった世界があるの・・・。』
見たかった・・・・世界?
『-------------幹也が・・・・心の底から生きたいと思う世界。』
・・・・・俺が生きたいと思う世界?
そんなの・・・実現するはずが・・・・。
『本当は私が叶えたかったけど・・・・もうダメだから。
けど・・・・幹也なら出来るよ。ううん、幹也にしか作れない世界なの。』
俺に・・・何か出来るのか? そんな世界・・・実現できる気がしない・・・。
そもそも・・・君はもう・・・・。
『-----------私・・・・ずっと待ってるよ。
本当はすぐに会いたい・・・・ずっと一緒にいたい。
だけど・・・・この夢は、幹也にしか叶えられないから。
そんな世界を二人で一緒に見れる日まで・・・・・私はここから幹也を守るから。
一緒に・・・頑張ろう? だから・・・・・・・・・
生きて・・・・幹也・・・・・・・。』
-----------そして声は・・・・届かなくなった。
言霊は音を出して割れた・・・。
そして割れたと同時に出た光のチリが、キラキラと辺りを輝かせる。
彼女が残した言葉・・・・自分が望んだ言葉ではなかった。
生きてほしいなんて・・・・俺にとっては残酷な言葉だ。
だけど・・・・・不思議だ。もう迷いはなかった・・・・。
『------------改めて聞こう、瀬谷幹也。お前の生きる意味はなんだ?』
・・・・生きる意味。絶対に見つからないと思っていた・・・。
『-------------・・・彼女のために・・・・彼女の夢を叶えることだッ!!!』
・・・・今ははっきりと言える。
今まで目標、夢がなかった俺に・・・・
-------------この時初めて・・・・生きる意味が出来た瞬間だったんだ・・・。