複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『愛する人が伝えた言葉。』 ( No.22 )
- 日時: 2012/05/15 21:12
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。
-------------目標を見つけたまではよかったが、果たして俺はどうすればよいのだろう・・・。
俺の生きたい世界を作る・・・・。いったい何をどうすればいいのやら・・・。困ったな。
『貴様に・・・・一つ面白い提案をしてやろう。』
・・・・提案? 怪しい提案なら断るぞ?
『----------私と一緒に・・・・善人を救う仕事をしてみないか?』
善人を・・・・救う?
『お前の望む世界は善人で溢れるだろう?
善人を救うことは、お前の望む世界に近づく事になる。』
確かにそうだが・・・・。だが少人数の善人を救ったところで、
果たして俺の望む世界は実現するのだろうか・・・?
それだったら悪人を善人に変えることの方が、よっぽど効率の良いように思える。
『悪人が善人に変わることなどごく稀だ。それに・・・・今のお前にそれが出来るのか?
がむしゃらに走っても仕方がないぞ。やれることをやる方が、よっぽど効率が良いと思うのだが・・・?』
・・・・・・くそ。うまく言いやがる。
こいつと口喧嘩してもたぶん勝てないだろうなと、俺は思った。
------------だが・・・・・言ってることは正論だ。
確かに今の俺にあてがあるわけでもない。これからどうすればいいのかも分からない。
だったら・・・・・アリかもしれないな。
「お前の仕事に付き合うとして、俺は具体的に何をすればいい?」
『何もする必要もない。ただここにいた善人と話をするだけだ。』
・・・・それだけ? まぁ確かにさっきだって・・・・俺に何か特別な事をしてくれたわけでもない。
話して・・・・言霊を渡しただけだ。それで善人を救えるのか?
『-----------否、これが一番大事なのだ。
ただ話を聞き、自分の気持ちを伝える。いわば対話が大事。
それ以外必要はないし、逆を言えばそれでしか救えないのだ。』
・・・確かにそうだ。俺もそのおかげで今こうして生きているのだから。
・・・ん? 待てよ?
「・・・・俺は今・・・・生きているのか?」
そう、ずっと気になっていた。俺はマンションから飛び降りたはず。
だが気づけば、俺はここにいた。俺は一体・・・・
『-----------否、死んでいる。お前は死んでここに連れてこられたのだ。』
・・・・そうか。まぁいいんだけどな。
『だが、生きたいと願うのならば、お前は現世に帰ることが出来る。善人だけの特権でもあるな。』
・・・・・すげぇな。つまり本当にこいつは弱い立場の味方なわけだ。
ここまでこいつが善人にこだわる理由はなんなんだ・・・・?
『----------まぁ・・・・私の仕事に付き合うとなると・・・・・
死んでもらわなきゃいけないのだがな。』
・・・・まじかよ。つまり生きている状態でここにとどまる事は出来ないのか。
いや・・・・この際、そんなことはどうでもいい。
ここに残ることで、彼女の夢を叶えられるのなら・・・・。
『・・・・どうする? どちらでも構わんぞ?』
答えは・・・・・・・・・・・・・
「----------俺はここに残る。そして・・・・・同じ善人を救って見せるッ!!」
それで世界が少しでも良い方向に変わるのなら・・・・。
『ではよろしく頼むぞ、瀬谷幹也。』
「・・・・あんたの名前は?」
『------------------黒川だ。』
俺の人生、一体何なのかと言われれば、はっきりと答えることは出来ない。
だが・・・・ここで見つけてみせる。彼女の夢を叶えるために・・・・
-------------俺はまず、一歩前に進んでみようかと思う・・・・。
-----------------エピソード1 完 -----------------------