複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『彼女が経験したのは・・・』 ( No.31 )
- 日時: 2012/05/27 19:17
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。
----------別に信じたわけじゃない。
こんなものでおばあちゃんと会話できるなんて最初から期待してない。
けど・・・・物は試しだ。やってみても損はない。
・・・・おばあちゃん。私だよ・・・・。林檎だよ。返事をして・・・・・。
『---------・・・・り・・・ん・・・ご・・・。』
・・・・おばあちゃん!? おばあちゃんなの!?
嘘・・・本当に通じた・・・。
あのね、おばあちゃん・・・・私ももうすぐそっちに行くから。
おばあちゃんは私のそばにいつもいてくれた。
今度は・・・・・私の番だから・・・。
『-----------ダメ・・・です。・・・・林檎。
お前は・・・・こっちに来てはいけません。』
・・・・? どうして!? なんでなのおばあちゃん・・・?
『私の分まで・・・・生きなさい。お前は・・・・生きて世の中のためになるのです。』
・・・何言ってるの? それって私が医者になることを言ってるの?
-----------もう意味ないよ。
私はおばあちゃんを救うために今まで頑張ってきた。
おばあちゃんを失った世界に・・・・私の夢は存在しない。
『・・・林檎・・・私は嬉しかったよ。私の病気を治すために必死に勉強して・・・・。
本当は学校でいっぱい辛いことがあったんでしょ?
・・・・・知っていたよ。
林檎は優しい子だから、私に迷惑をかけたくないと思って話さなかったことも・・・。』
・・・・知ってたんだ。そっか。ばれちゃってたか。
『私には分かる。林檎・・・・お前なら色んな人を救える。
いつかきっと・・・・素晴らしい医者になれる。』
・・・・おばあちゃん・・・なぜそんなことを言えるの?
私は・・・・・・私はッ・・・・・
『-----------生きなさい、林檎。
私のような・・・・不治の病を持つ人を救うためにも・・・・・。』
おばあちゃんの声は・・・・・そこで途切れた。
手に持ってあったボールが音とともにはじけ、綺麗な光のチリをまき散らす・・・。
-------------ごめんね。おばあちゃん。
・・・・救いたかった・・・・・。救いたかったのにッ・・・・!!!
おばあちゃんに・・・生きてほしかったッ・・・!!
私ね、本当は見てほしかったの。
私がおばあちゃんを救えるぐらいの医者に成長したんだよ、・・・って見せたかった。
ずっと助けられてばかりいた私だけど、今度は私が救いたかった。
・・・・ごめんね。恩返しもできないなんて・・・・ダメな子だね。
・・・・・・・・・・・見てて、おばあちゃん。
いつか私は・・・おばあちゃんが満足するような医者になってみせるから。
そしていろんな人を救ってみせる。もうおばあちゃんのような人を・・・見たくないから。
----------------もう迷わないよ、私。
私は一人で進んでいけるから・・・・・・・。
------------だから・・・・・見ててね。おばあちゃん・・・・・・・・。