複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『彼女の行方、彼女の夢。』 ( No.32 )
- 日時: 2012/06/01 22:04
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。
「-----------後ろの扉を開けば、お前は現世に帰れる。」
瀬谷幹也と呼ばれる青年は、私の背後にある扉を指さして言う。
扉からは、温かい光、懐かしさを感じる光が差し込んでいた。
「おばあちゃんの思いを・・・・無駄にしないようにな。」
・・・・貴方は何者なの?
私のような人を真剣に説得して・・・・。何が目的なの?
「自分が何者かは俺も分からねぇ。だけど、目的はある。
・・・・あんたのような人を救いたいからだ。それ以外何もねぇよ。」
貴方は実は優しい人だったんだね・・・。ちょっと変わってるけど。
・・・ありがとう。嬉しかった。
こんなどうしようもない私に・・・
生きる希望を示してくれて本当にありがとう。
さようなら・・・・・・・。
----------そうして、彼女は現世に帰って行った。
『----------最初の仕事にしては・・・よくやった方ではないか?』
・・・黒川。あんたほとんど俺に任せきりだったろ? 何サボってるんだよ・・・。
『否、言う事がなかっただけだ。貴様の言うことは正しかったのだからな。』
正しかったって・・・・説得に正しいも間違いもないだろ?
『そうだ。説得の仕方は人それぞれ。だが・・・・成功と失敗はある。
貴様はみごと成功に導いた。これは誰にでも出来ることではない。』
・・・・そうかもしれないが、あんたでもあの子を救えただろ。なぜ俺に任せた?
『否、私では救えたかどうかは分からない。貴様だからこそ救えたのではないか?
貴様の気持ちの入った説得が・・・・彼女に届いたのだろう。』
・・・やれやれ。上手いこと言いやがる。
--------------だけど・・・・こんな俺にも人を救えるんだな。
初めてだった。こんなに真剣に説得したのは。
正直無駄だと思っていた。所詮、人は他人の意見を簡単には受け入れない。
どれだけ正直に自分の気持ちを伝えても、綺麗事だと流される。
けれど・・・ちゃんと聞いてくれる人もいた。
そんな人がこの世界にいたのだと知っただけでも・・・・俺は嬉しかった。
『瀬谷幹也・・・・お前はこれから色んな人と出会うだろう。
そして・・・救うがよい。お前の言葉で・・・・お前の気持ちで善人を・・・・。』
そうだ。まだ始まったばかりだ・・・・。
-------------俺の夢が叶う日は・・・・・まだ遠い。
-----------------エピソード2 完 -----------------------