複雑・ファジー小説

Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『Last エピソード、2』 ( No.37 )
日時: 2012/06/28 21:58
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。







      -------------こうして私は今も神の代理として、ここで善人を救う仕事をしている。





         ・・・・最初は苦労をしたものだった。





     説得するだけといっても、簡単な仕事ではない。
    つまり私は最後の審判。私の説得しだいでその人の運命が変わるのだ。


     他人の運命を変える・・・。それは絶対に軽い気持ちではしてはいけないことだ。





    この世界、自分の人生は自分で決める。だが、だからといって『命』を無駄にしていいわけじゃない。

    『命』は神に与えられたモノ。無駄な『命』なんてないのだから。





      だから私はいつだって真面目で、いつだって本気だった。


    おかげで、日を重ねるごとに救えた『命』は多くなっていった。










      もちろん・・・・今まで救えなかった人間も数多くいたがね。










    ---------------人間の心を変えるのは、簡単ではない。

          だが、それが出来るのも同じ人間なのだ・・・。

















     「・・・・おい、黒川。またお前サボってたな?」







    瀬谷幹也は不機嫌な表情を浮かべながら言う。







   ------------おっと、どうやら私は話に夢中で仕事をほったらかしにしてしまったようだ。


   すでに瀬谷幹也が終わらせてしまったようだ。どうやら無事に、あの人を救えたらしい。






  ・・・本当によくやった、瀬谷幹也。これだけ出来れば十分だ。安心して任せられる・・・。










     「・・・あんた最近おかしいぞ。ぼおっとして・・・・・どうしたんだ?」





      瀬谷幹也は私の様子の変化に感付いてるようだった。



    ・・・・そろそろ言うべきか。いずれにせよ、近い内に言うつもりだった事だ。


        今言うのも・・・・悪くはないか・・・・。








      『----------瀬谷幹也、落ち着いて聞くのだ。











































             ・・・・私はもうすぐ消える。』











     そう言い放った瞬間、瀬谷幹也は驚いた表情を見せた。それはそうだろう。

     彼自身、想像もしてなかったであろう事。驚くのは当たり前だ。






      「・・・どういう事だ、黒川。」

      『深い意味はない。そのままの意味だ。』

      「軽くまとめるな!! ちゃんと説明しろよ!!」





    瀬谷幹也は声を荒くし、怒鳴るように私に迫る。やれやれ…教えてやるしかないらしい。






      『そうだな・・・・簡単な言葉で言うと、私は卒業だ。』

      「そつ…ぎょう? なんだよそれッ・・・きいてねぇぞ!?」







    --------------卒業。別の言葉でいえば引退。そう、私はこの仕事を辞めるということだ。





      『・・・・最近、神様から連絡があった。元の世界に帰してやるとな。』


      「ッ!? あんた・・・神様じゃなかったのか!?」





        瀬谷幹也の言葉に、黒川はフッと笑う。





















     『--------------さて、瀬谷幹也。時間がない。本題を話そう。









           これが…最後の会話かもしれんからな。』