複雑・ファジー小説
- Re: 『いのち』が伝えるもの・・・。 『Last エピソード、3』 ( No.38 )
- 日時: 2012/06/30 12:48
- 名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)
- 参照: 『いのち』・・・それは伝えるもの。
「--------------最後・・・・なのか・・・? もう帰るのかよッ!?」
・・・そうだな。正直・・・もう時間がない。
-------------なんとなく自分でも分かるのだ。
先ほどからずっと感じているこの感覚・・・。自分の身体が無くなっていくような感覚が・・・。
『私が話す事は・・・大体分かってるな?』
その言葉に思わず黙り込む瀬谷幹也。
「・・・分からねぇよ。何がいいたいんだよ?」
とぼけたように聞き返してくる瀬谷。黒川はすでに分かっている。
瀬谷が・・・真実を受け止めきれていないことに・・・。
(・・・・分かってるさ。こいつが言いたいことも・・・・分かってるんだ。)
認めたくないけど・・・こいつの言ってる事は本当だ・・・。
さっき心を読んでしまった。分かってしまった。真実は残酷だ。
だけど・・・だけど・・・・、
『・・・では口でちゃんと言おう。瀬谷幹也・・・』
止めろ・・・・。口にするなッ・・・。
『私の代わりに善人達を------------』
「止めろッ!! もういいッ・・・・もういいんだッ・・・。」
聞いたところでもう何も変わらない。あんたは結局・・・消えてしまうのだから。
あんたはこんなどうしようもない俺に目標をくれた。
愛する人の死を体験し、絶望した俺に希望を与えてくれた。
そして何より・・・他人のために、善人のためにこの世界を変えようとするあんたはかっこよかった。
この世界には・・・あんたのような人が必要なのに・・・。
『・・・すまないな。時間のようだ。』
現実は残酷だ。別れは突然起こってしまう・・・。
・・・なんだよ。あんたはもう消えてしまうかよ。
あんたに・・・もっと恩返しをしたかった。俺を救ってくれた・・・あんたに。
--------------なら・・・やるべきことは一つだ。
『・・・・では一言だけ言わせてくれ。』
黒川・・・・俺は・・・
『------------この世界を頼んだぞ、瀬谷。』
俺は・・・俺はッ・・・・!!
「おい、黒川ぁ!!!」
瀬谷幹也は少しずつ身体が消えかかっている私を、真っ直ぐに見つめ、
「----------見てろよッ!! 俺は・・・絶対に夢を叶えてみせる!!
それが・・・恩人であるあんたに出来る恩返しだ。
あんたの目指した世界を・・・俺が作ってみせるからなッ!!」
と、強く言い放った。その目に・・・迷いはない。
初めて会った時よりも、その姿はたくましくなった。
自分自身と向き合い、目標のために頑張る彼の姿を、私は一番近くで見てきた。
----------だから言える。今の彼は・・・
『やれやれ・・・・お前は本当に・・・・
--------------頼りになる男だ。』
そう言い残し、黒川は消えていった・・・。
黒川が消えていくと同時に、光の粒が辺りを輝かせた・・・。
-----------黒川・・・・照れくさくて言えなかったけどよ、一つだけ分かった事がある。
あんたが自分の夢を諦めなかった理由が・・・さ。
俺はずっと、自分の考えを信じて疑わなかった。間違えてるなんて思わなかった。
・・・だけど、確信したよ。『いのち』は決して無駄じゃない。生きてる事は素晴らしい事なんだ。
俺も教えられた。瑞の『いのち』、そしてあんたの『いのち』に。
-------------『いのち』が伝えるもの・・・・それは『希望』そのものなんだな。
『いのち』は必ず誰かに『希望』を与える。そして道を指し示し、導く。
『いのち』は誰かに『希望』を託す。それが未来に引き継がれていく。
素晴らしいよな・・・。こんなことをなんで今まで気づかなかったんだろう。
・・・なんて、ははは。なんてクサい事を言ってるんだ俺は。ガラにもない。
だけどさ、今ならはっきり言える。
この世界は腐ってなんかいない。諦めるのは、見捨てるのはまだ早い。
この世界は・・・・・・・
------------------希望で満ち溢れているのだから・・・。