複雑・ファジー小説

記憶のカケラ (2) ( No.5 )
日時: 2012/07/10 21:11
名前: 雷羅 (ID: mlAvlERx)

第1章 1.出会い

 「…う」
 重たい瞼をゆっくりと開く。
 森の中、俺は木に寄りかかり寝ていた。

 目を覚まして一番最初に、目にはいったモノは

 ———死体。

 無残に引き裂かれたモノ、頭を勝ち割られているモノ…
 その死に方はさまざまだ。
 死体の顔は全て苦痛に歪んでいた。
 その顔が「無念だ」と物語っていた。


 「…何で死体が?————あぁ、俺が殺したんだ」


 頭から流れ出る血を手で乱暴に拭う。
 「…っ!」
 体中が痛む。

 死ぬ時はもっと痛いのだろうか。
 死んだら楽になれるのだろうか。

 ふと、そんな事を思った。

 「—————まぁ、そんな事どうでもいいか」
 そう呟いた。


 ———ザアァ

 突然、突風が吹いて、俺の肩まで伸ばした赤い髪をなびかせる。
 「うぷっ。なんだいきな、り——…」

 木々の隙間に1つの屋敷が、見えた。
 こんな森の中で屋敷を見たことは無かった。

 「……」

 ゆっくりと立ち上がった。
 ふらふらとしながらその屋敷に向かって、歩き出した。