複雑・ファジー小説

Re: 記憶のカケラ 【参照600突破!!】 ( No.120 )
日時: 2012/08/26 21:52
名前: 雷羅 (ID: J0KoWDkF)

「……………………すぅ」
ライラがベットの上で寝息をたてている。

「…………はぁっ」
ぎしりとベットに腰をかける。


帰ってきた瞬間、ライラは気を失ったかのように倒れた。
慌てて受け止めたが、寝ているだけだった。
腕の中におさまるライラは、美しく儚い。
細く今にも壊れてしまいそうだ。


「記憶が無いって事は、もしかしてライラは——…」
ぼそりと呟く。


ライラの髪におそるおそる触れる。
柔らかいライラの髪は俺の手から、いとも簡単に逃れていく。

頬に触れようと、手を伸ばす。
だが、触れる寸前で手を止める。



透き通るような白い肌。
細い手足。




ライラは汚れを知らない、真っ白だ。
俺が少しでも触れたのならば、真っ赤に、黒く染まって汚れてしまう。




—————俺は汚れているのだから。





「……っ」
俺は手を握り締め、ただただ俯いた。