複雑・ファジー小説

Re: 記憶のカケラ 【第2章 1.幼き少女と最悪な運命 更新中】 ( No.135 )
日時: 2012/09/11 22:07
名前: 雷羅 (ID: J0KoWDkF)

ゆっくりと瞼を開く。
ぼやけた視界が目に入り、少しずつはっきりしていく。

真っ白な天上が目に入った。
ゆっくりと体を起こし、辺りを見渡す。
だが、フレアの姿は無い。

ぱさりと何かが———大きなコートが落ちた。
見覚えのあるコートだなと思い、それがフレアの着ていた物だと気付く。
私に掛けてくれたのだろうか。

コートに袖を通す。
ぶかぶかのコートからほのかに、フレアの匂いがする。


私にはとても大きなコートを少し引きずりながら、ベットから降りる。
その時、鈍い【痛み】が私の頭を襲う。


【痛み】にふらふらになりながら、部屋からでる。




何かを見ていた。
夢か何かを。



とても大切な事だったはずなのに。
忘れてはいけない事だったはずなのに。




———何も思い出せない。




すごくフレアに会いたかった。
【痛み】に視界がくらみ、足が縺れそうになる。
それでも必死に階段を下りる。

1階の長い廊下を、出口を探しながら歩く。
その足は少しずつ、少しずつ速くなっていく。




フレアに会いたい。
会いたい。




外に飛び出す。
最後にはもう走っていた。

高く聳え立つ塀がある。
塀を伝いながら、歩いていく。



フレアを見つけた。
その瞬間何故だが分からないが、体の力が抜けていく。
その場に座り込み、フレアを見つめる。



フレアは舞っていた。
二つの剣を持ち、美しく舞っていた。


戦っているのではない。


赤い髪を風になびかせ、剣を手の延長のように振り回し舞っている。



その姿は
赤いの死神の様。



その姿は美しく、切なく、哀しい。