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複雑・ファジー小説
- Re: 記憶のカケラ 【久しぶりの更新…】 ( No.145 )
- 日時: 2012/11/13 23:00
- 名前: 雷羅 (ID: sb4c5jj4)
「どうか、したのか…?」
不思議に思い、ライラに近寄る。
ライラは俺をじっと見つめてきた。
首を小さく傾げて、横にふった。
「分からない…。何故か、フレアを見つめたとたん、力がぬけて…」
「そう、か…」
曖昧な返事をライラに返す。
見たところ、体調が悪いわけではないらしい。
そのことに、一安心する。
「フレア…」
ライラが俺の手をまじまじと見つめていた。
「フレアは、それをつけていたか…」
何に対して、ライラが言っているのかに気付く。
それとは、俺が手に付けている革手袋のことだろう。
「あっ、いや……。ちょっと、な」
俺は言葉を詰まらせる。
素手でライラに触れたくない。
触れてしまえば、ライラを汚してしまう。
そう、言う事が出来なかった。
言ってしまえば、何故?と問われるだろう。
聞かれれば、答えるしかない。
俺の過去も、全て。
それは、きっとライラを傷つけることだろう。
だから、俺は誤魔化すしかない。
自分のために。
ライラのために。
「何でも無い。気にするな」
ライラに向けて、手を差し出す。
俺の顔を窺い、次に俺の手を見つめた。
そしておずおずと手を重ねてくる。
俺がライラの手を握ると、優しく握り返してくる。
それが少し、嬉しかった。
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