複雑・ファジー小説

Re: 記憶のカケラ ( No.18 )
日時: 2012/05/17 05:42
名前: 雷羅 (ID: 01wfR6nM)

———ギィィッ、バタン

「はぁー…」
部屋の外に出て、壁にもたれかかる。
そのまま、足から崩れ落ちた。

「何泣いてんだよ…」
あの本を読んだ瞬間、何故か涙が溢れてきた。

—自分と似ていたから?
 あの時と。

「ぅあっー!」
無意味な叫びを発し、頭を掻く。
そのせいで、いつも以上に髪がボサボサになった。

「もう良いんだ。忘れろ」

———ドサッ
そう言って立ち上がった時、何かが落下した。

足元を見てみると、さっきの黒い本が落ちていた。

「…さっき確かに置いてきた筈なのに」
拾い上げ、さっきの部屋に戻そうとしたが—

———ガチャッ、ガチャッ
「…はっ?」

何故かその扉は、鍵がかかっていた。
確かに開いていたのに。

「………」
しばらく本を見詰めていたが、戻すことを諦めた。
多分この本は何時までも、ついてくるだろう。

ならば、連れて行こう。
俺の最悪な運命に。


扉に背を向け、その斜め前の新しい扉を開ける。
———ギィィッ

そこはさっきの部屋とまったく同じ造りだった。
同じ部屋に入ったと、錯覚するほどに。

「何かが、おかしい」
同じ部屋があることも不思議だったが、その他にも。
何かおかしなことが。

その部屋から出て、別の部屋に。

1階の部屋は全て同じ造りだった。

2階へと続く階段を見つけ上へと上がる。
2階も1階同様、長い廊下が続いていた。