複雑・ファジー小説

Re: 記憶のカケラ ( No.23 )
日時: 2012/05/21 09:37
名前: 雷羅 (ID: 01wfR6nM)

「ん?」
ベッドの上に誰かがいた。
近づいてみると、其処には一人の少女が横たわっていた。


細く色白で今にも折れそうな手足に、美しい寝顔。
それは、童話の中の眠り姫。


小さく細い少女と、広く大きいベッドは合っていなかった。

「…死んでる?」
その少女はさっきからピクリとも動かない。
微かな吐息が、聞こえるだけ。

そっと、手を伸ばし少女の頬に触れてみる。
その頬はとても柔らかく、温かい。

「えっ?」
少女は閉じたままの目から涙を零し、

「フ…イ、ナ…」

誰かの名前を小さく呟いた。

「うっ…あぁっ…!」
その名前を聞いた瞬間、頭が締め付けられるな気がした。

そして、何かを思い出した。


小さな窓枠から頭を、除かせる少女。

恥ずかしそうに、微笑む。

ゆっくりと差し出した少女の手を、俺は取る。


心が温かく、楽しい


この気持ちは…


———————……。

「…うっ」
少女のうめき声で俺は、我に返った。

「あ…れ?」

何か、何かを、思い出した、のに…。

記憶を辿ってみるが、何も思い出せなかった。