複雑・ファジー小説
- Re: 記憶のカケラ ( No.71 )
- 日時: 2012/06/11 16:59
- 名前: 雷羅 (ID: vkOByh3G)
「あっ!ライラ、バカ!!」
慌てたフレアは振り返った。
「ふ〜ん。ライラックねぇ」
バラスはゆっくりと立ち上がった。
そして、フレアの前に立った。
意外と、バラスは背が高かく、フレアよりも高い。
190cmぐらいだろうか、折れそうな位、細い。
青のマントを羽織っていて、ズボンは白でマントの下は布地の白いシャツ。
「僕は、バラス・ストレンジだよ?よろしくね?」
にこりと、笑った。
そして、私の前にしゃがみ込んだ。
「…へぇ。きれいだねぇ。幼い中にも…不思議な魅力を、もっている」
私の顔に触れようとする。
———バシンッ!
「触れるな…!」
フレアが私を抱き寄せ、バラスの手を弾いた。
———ドキン
ドキン…
この気持ちは一体
バラスは驚いた後、にやりと口を歪めた。
そして、立ち上がった。
「そんな怖い顔、しないでくれないかなぁ?」
君のものは、取らないよ?
フレア…くん。
「それに、初めてフレア君が気に入ったみたいだからねぇ」
両手をひらりと上げた。
「だ、ま、れ!!!」
歯を剥き出し、フレアは威嚇する。
くすりと笑いバラスは、椅子に戻った。
「で?お遊びはこの位にして、そろそろ本題に入ろうか」
両手で頬杖を突いたバラスは、言った。
「あぁ」
フレアは頷き、私を優しく放した。
「…実はライラ、『闇使い』なんだ。それで、『闇使い』について教えろ」
真面目な顔をして、フレアはバラスを睨んだ。
「『闇…使い』?」
驚いたようにバラスは、呟いた。
ブルブルとバラスは俯きながら、震えた。
「バラス……?」
フレアは心配をする様に、名前を呼んだ。
「…な…い…」
「ん?」
バラスが何かを呟いたが、聞こえなかった。
「ありえないんだぁ!!こんな可愛い子がっ、ちっちゃい子がっ、『闇使い』なんてっ!!!」
次の瞬間、バラスは勢いよく立ち上がり、叫んだ。
「はぁ?」
フレアは、間抜けな声を出す。
「だって、こんなに可愛いんだよ!!僕はもっとグロテスクな…血を飲んで、『フハハハハハッ♪』って笑うようなっ!そんなモノを、想像していたのにぃぃ!!」
「いや…、それ完璧なる化けもんだろうが」
呆れたようにフレアは、言った。
「そんなの、僕は許さなぶべぼろっ!!」
叫んでいたバラスの後頭部に、何かがぶつかった。
バラスは頭に分厚い本を乗せたまま、机に突っ伏した。
「うるさいです。バラス、黙りなさい」
声がバラスの後ろから、聞こえた。
凛としていて、何処か呆れているような女の人の声だ。
「…フレア、さん?」
「よっ」
バラスに本を投げた女性は、フレアの名を呼んだ。
フレアも親しくそれに、答える。
「お久しぶり、ですよね」
その女性は、何事も無かったかのように笑みをフレアに向けた。