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複雑・ファジー小説
- Re: 記憶のカケラ 【第3章更新中】 ( No.80 )
- 日時: 2012/07/01 20:56
- 名前: 雷羅 (ID: vkOByh3G)
「……ッ!?」
私は驚き、辺りを見回す。
さっきまで居たはずの、バラス達の姿が無い。
目の前に立っていた、あの少女も。
何故か、私は1人暗闇の中で立っていた。
「此処は…」
暗闇は先が見えないほど、長く続いている。
ライラと目が合った瞬間、私はこの空間に飛ばされた。
「本当に、飛ばされた?もしかしたら、魔法を使った幻術なのかも知れませんね。……?」
何かを感じ、すばやく振り向く。
少し離れた所に、ライラが立っていた。
違和感を感じながら、少女に声をかける。
「これは、貴方の魔法で……っ!!」
一瞬にして、ライラが目の前に移動した。
やはり、この少女は魔法使い。
この空間も…。
「…ライラさん」
声をかけるが、無表情で私を見つめてくる。
ゆっくりと一歩一歩、私に近づいてくる。
何も感じ取れない金色の瞳で、私を捉えている。
小さなその体から、得体の知れない、恐ろしい何かが溢れている。
恐怖が私の背中を這う。
逃げなければ。
そう思ったが、体は金縛りになったかのように動かない。
そっと、少女は私に手を伸ばす。
その手が、私の頬に触れた。
「ッ!!!!」
その瞬間、本能的に恐怖を感じた。
汗が体中から、噴き出す。
心臓を握られているような感覚がした。
逆らえば、心臓を握りつぶされる。
「……っあ……っあぁ」
少女はゆっくりと私に顔を近づける。
唇が、触れそうなところまで近づいた。
美しく、妖艶な笑みを浮べた。
「お前の魔力、魂。全て、私が貰う」
そう、小さく呟いた。
天使のように優しく、悪魔のように恐ろしい囁きだった。
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