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複雑・ファジー小説
- Re: 記憶のカケラ 【第3章更新中】 ( No.83 )
- 日時: 2012/07/01 22:07
- 名前: 雷羅 (ID: vkOByh3G)
「……ア……ルー…君」
誰かの声が聞こえる。
聞きなれた声が聞こえる。
「……ルー…君ッ!……ルーア君ッ!!」
嗚呼、これはバラスの声だ。
珍しく、焦っている。
何をそんなに焦って、居るのだろう。
「ルーア君ッ!!しっかりするんだッ!!」
私を心配している?
ゆっくりと瞼を開ける。
一番最初に目に飛び込んだのは、心配そうに顔を歪めたバラスの顔だった。
「バ…ラ、ス…?」
「ルーア君、良かった…」
私が微かに声を出した。
その途端、バラスは安心したようにため息をついた。
柔らかく、優しい微笑を溢す。
よく見てみると、バラスに抱えられていた。
床に跪き、私の腰に優しく手を回している。
「…えっ、……あっ」
今更ながら、今の状況に恥ずかしくなる。
ふと、見上げると至近距離に、バラスの顔があった。
「何処か、体調が悪いのかい?」
本当に心配しているように、バラスは言う。
「え、あ。その……」
「ん?」
「う〜〜〜〜〜〜。離れなさいっ!!!」
———ドンッ!ガンッ!
恥ずかしさの余り、バラスを突き飛ばしてしまった。
「痛っー!!」
突き飛ばされたバラスは、思いっきり壁に頭をぶつける。
「うえあ、ううっ。すみません!!」
「うん。いや。…良いんだけどねぇ」
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