複雑・ファジー小説
- Re: 第2回クロス体育祭(がんがん参加しちゃいなYO-!) ( No.41 )
- 日時: 2012/07/13 22:18
- 名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)
「と言う訳で、今回は運動会に参加するぞ」
と、いきなり言いだしたのは、我が黒影寮が寮長・東翔さんです。地球を一瞬で焦土と化せるぐらいの力を有した炎の死神——つまり人を殺せます。
そんな翔さんは、なんと「運動会に参加する」と言ったのです。一体どういう風の吹きまわしでしょう?
「いや、なんとなくだな。さっきそこで面白そうな企画がやっていたから参加しようとしただけだが?」
それが何か、とでも言うかのように翔さんは首を傾げます。いえ、決しておかしくありませんよ?
そこで、黒影寮の忍びである王良空華さんが挙手で言いました。
「じゃあさ、誰が1番点数を取れるか勝負しようよ! 優勝した人には、銀ちゃんとデート権!」
「え、えぇ?! 空華さん、何を——!」
「お、いいじゃねぇか。それぐらいあった方がいいよな? よし、やるぞ。メンバーは俺と空華と昴と怜悟と睦月か? あと1人参加させたいな。蒼空……?」
「ま、待ってください!」
私はそこでストップをかけました。
いえ、私の承諾なしでデート権なんていう優勝賞品は認められません。全力で阻止せねば!
「私も参加します!」
私、黒影寮の管理人・神威銀。第2回クロス体育祭に参加決定しました!
私も一応能力者ですよ? 神様を降ろす事ができる銀の鈴です!
さっそく参加です。
まず第1の競技として——借り物競走ですね。
「イチニツイテー、ヨーイ、ドン!」
係員の人がピストルを撃ち、私達のレースがスタートしました。
トップに躍り出たのは昴さんです。さすが速い! 地球を光の速さで移動できるからすごいです。昴さんは借り物の紙を手にとってぴたりと動きを止めました。
続いて翔さんが借り物の紙を取ります。そしてその紙を、有無を言わさず燃やしました。空華さんも怜悟さんも睦月さんも次々破いていきます。
一体何が書いてあったのでしょうか? 最後である私も紙を拾いました。
好きな人(はーと)
破りそうになりましたね。
「……どうやらここで勝敗を決めなくちゃならねぇとはな」
翔さんはにやりと笑いながら、鎌を構えました。皆さんも戦闘態勢に入ります。
さて、私はどうしましょうか……好きな人なんて考えた事ありませんし。
「ぎーん、どうしたー?」
「あ、鈴。ちょうどよかったです、協力してください」
私が胸元から下げた鏡から少年の声が発せられました。これは、私のもう1つの人格らしいです。鏡の向こうで生活しているらしいのです。
彼の名前は鈴(りん)。銀の鈴の神様を降ろす部門の人です。あ、私は回復専門ですから。
「ところで、どうしたの? 何を協力すればいいの?」
「ハイ。出てきてくださいませんか?」
「別に構わないけど……」
そう言いますと、光の粒が鏡から出てきました。それがやがて人の形となります。
鈴がにっこりとした笑顔で、私の目の前に立ちました。
「じゃ、行きましょう」
「うん。どこへ?」
「ちょっとゴールまでです」
好きな人じゃないですけど、家族として好きな人でもいいですよね。
この勝負、神威銀の勝利!