複雑・ファジー小説

Re: 僕と家族と愛情と【オリキャラ残り7人!投稿お願いします!】 ( No.123 )
日時: 2012/09/10 16:59
名前: ナル姫 (ID: DLaQsb6.)  

「違うんです!!その、態とじゃなくて…」
「ふええんっ成実様ァ…」
「あーあー…もう…」
「政宗様の御前の静寂を乱すなッ!!」

何があってこんなことになったのか、少々説明には時間が掛かるが、お付き合い頂こう。

一刻前…。

「ま、お前が心配に及ばねぇってんなら、俺は帰るよ」
「そもそも何故こんな朝早くに…」
「成実さん、宜しければここで朝御飯お食べになったら?」

明らかに嫌そうな顔をする政宗を他所に、にっこりと笑顔で話しかける愛。後ろにいる政宗は眉間を押さえ深く深く溜息を吐く。

「あの〜愛ちゃん?梵天丸が凄く嫌そうなんだけど?」
「あら、振りですわ!」
「ふ…振りなものか…」
「…駄目なんですか…?」

眉毛を八の字にして上目遣いで政宗を見る愛。政宗の心が押されるのが手に取るように見える。

「きっ今日だけだからなっ」
「はいっ政宗様っ」

何だかんだ愛に弱い政宗。成実が苦笑を漏らすのもわかる。その後だ。

「なあ、じゃあさ、光も呼んで良いか?」
「錦織御前か?良いぞ」
「光は良いのに…俺は駄目なんだ?」

こんな会話の後、結局呼ぶことになった。で、成実の正室、光姫は来た。此処までは良かった。その後、小十郎の部屋に朝餉を運んできた蒼丸がこちらにも善を運びに来て、そこから事態は急展開。

「えっと…この御方は?」
「光だ」
「光様ですか」

光と初対面で、更に彼女が成実と一緒にいると必ず皆、口を揃えて言ってしまう言葉がある。少年も例に漏れず、言ってしまったのだ。

「あ…おい、勘違いするなよ。この者は成実の…」

「成実様の妹様ですか?」

「あ」
「あー…」
「あーあ」

上から、愛、政宗、成実。
妹様ですか。これは彼女にとって禁断の台詞で、言われたら。

「私は…!成実様の妹ではありません…!!」

泣いてしまうのだ。


その後、政宗の家臣の女性が駆けつけ
現在に至る。

「ふえっう〜…」
「あーもー泣くな泣くな光!」
「ひ、光ちゃん、泣かないで?」
「あ、あの…す、すいません…」

しどろもどろに謝罪をする蒼丸の声はきっと誰にも届いていない。騒ぎを聞き付け小十郎まで来てしまった。

「何の騒ぎです」
「あっ片倉様…」
「おやおやこれは…成実に錦織御前」

慌てる様子のない小十郎。それはそれで困り物だ。
収まらない騒動にあたふたする蒼丸の肩に、誰かの手が置かれた。頭に疑問符を浮かべながら蒼丸は振り返る。そこにいたのは、政宗様の御前の静寂を乱すなと言っていた女性だ。

「え…っと?」
「お前か、錦織御前様に無礼な口を叩き、政宗様の御前で騒ぎを起こしたのは」

大袈裟な気もするが、正解だ。

「は、はい…」
「無礼者ッ!!いま此処で…」

女性は腰に指している二本の刀のうち一本を取りだし、丸腰の蒼丸に斬りかからんとする。思わず目を瞑る蒼丸。その直後、金属の交わる音がした。

「…?」

恐る恐る目を開ければ、小十郎が自らの刀を抜き、女性の獲物を止めていた。相当力を入れているのか、腕が震えている。

「片倉様!?何を…」
「綾、この子は私の小姓ですよ?」

綾、と呼ばれた女性は刀を下ろす。

「そう…でしたか」
「それとついでに言っておくと、政宗様の実弟です」

その場が凍った。泣いていた光も、光を慰めていた愛と成実も、小十郎の後ろにいる蒼丸も、蒼丸を斬ろうとした綾も、困ったように傍観していた政宗も。

暫くして、政宗がやっと呆れた様に声を出した。

「何故、今言う…」