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複雑・ファジー小説
- Re: 僕と家族と愛情と ( No.17 )
- 日時: 2013/07/25 13:59
- 名前: ナル姫 (ID: 6em18rVH)
- 参照: http://p.tl/Euvp
式には金田家などの伊達配下の大名は勿論、その他にも伊達と同盟をしている北条氏、田村氏、隣国の最上氏に、その本家の大崎氏まで集まった。更には、今天下に手を伸ばそうとしている羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)も、使者を寄越した。
蒼丸はまだ、政宗がこんなに早く家督を継いだ理由が理解できなかったが、定行にはそれ以上聞かなかった。
相続式が始まった。
「今日この日より、我が伊達家の家督は、藤次郎政宗の物である。皆、我が嫡男にお力添えをお願いしたい」
優しい顔で皆を見た輝宗の横に、政宗がいた。まっすぐ前を向いている。蒼丸は後ろの方にいたが、一瞬目が合った。しかし…
直ぐに、反らされてしまった…いや、それ自体は当たり前の行為だろう。何時までも目が合った状態で良い訳がない。ただ…目を反らす前、一瞬の出来事だったが、
憎む様な目で、蒼丸を見た。
蒼丸は動けなかった。何かしただろうか?何か、政宗様の気に入らないようなことをしただろうか?
だとしたら大変なことになる。
どうしよう…そんなことを考えている蒼の耳に、輝宗の話が入ってくる筈はなく、ただ冷や汗が流れた。
心臓が煩く鳴るのを気にしているうちに、輝宗の話が終わった。次は政宗が話す番だ。
蒼は政宗を見た。その時、顔を上げた政宗は。
「皆々様方…この藤次郎政宗はまだ十八の未熟者ではございますが…」
怖いくらいの笑顔で。
「どうぞ、私に付いてきてくださりませ」
煩く鳴っていた心臓が、止まるかと思った。
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