複雑・ファジー小説
- Re: 僕と家族と愛情と【コメを下さると嬉しいです…】 ( No.246 )
- 日時: 2012/12/01 09:13
- 名前: ナル姫 (ID: zi/NirI0)
悲涙父逝弾血流死笑寂愛血撃死悲望楽涙撃父逝撃信父認殺認父認認愛好上父言寂認上死死信血寂愛死愛父信水父死逝望父消上笑涙認消望殺弾望血流川笑顔悲認好撃涙信言好去死血父涙消楽逝楽血死愛逝死逝死父上笑逝涙死父愛上父上笑認話寂父上父上逝死父上父上父父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上父上——……。
廻る。文字だけが頭の中を廻る。
冷たい雨はまだ止まない。いっそ……風邪でもひいて、拗らせて死んでしまいたい。
心に張り付いて離れない、どうしようもない罪悪感。
生きる意味さえも見失ったかの様な主を、家臣は見守るしか出来なかった。
「…定行」
「!は、はい」
小十郎が定行に話し掛ける。定行は少し慌てて返事をした。
「宮森にいる蒼丸に、この事を伝えてください」
「え…しかし…」
「いずれ、知らなくてはなりません」
静かな声で小十郎は続けた。
「何らかの方法でまた騙し続けたら、可哀想でしょう」
「…はい」
定行は馬を止めた所まで走った。馬に乗る前、もう一度後ろを見る。
かつて一度だけ、『友』として扱った主の背を。
『姉さん』
「…」
昔の自分と被る……これだから主の姿を直視できない。
思い出したくない、過去の罪。
(…宮森…行かなきゃな…)
青年は一人その場を後にした。
___
蒼丸は未だ、冷たい雨に打たれていた。立つ気力もない。
……風邪ひいちゃうなぁ。
その時だ。
「蒼丸様っ…」
「定行…」
「こんな所で…風邪をひいてしまわれます、早く中へ…」
定行に立たされる。着物が重い、と今になって感じた。
「…父上は?」
「あ…」
『可哀想でしょう』
覚悟を決め、口に出す。
「…お亡くなりに、なられました」
「…」
定行の表情から、見てとれた事だった。それでも敢えてそれを聞いたのは、浮かび上がる予想を消して欲しかったから。
それだけの話だ。
「…そっか」
雨に濡れた蒼丸の顔だが、泣いている事が分かった。折角会えた実父なのに、天は理不尽に親と子を引き離す。
「…蒼丸様」
「何?」
「…」
でも。
「いえ…何でもありません」
「何だよ?」
「本当に、何でもないんです」
自虐的に従者は笑う。言いたい事を飲み込んだのは、自分に自信がないからだった。
——蒼丸様。
成実様を、政景様を…政宗様を、恨まないでください。恨んでも良い事はありませんから。政宗様も、辛いでしょうから。
(私こそ…恨んでしまうだろう)
この幼い主を想ってこそ、きっと……。
___
阿武隈川では、やっと正気を取り戻した政宗が、家臣に指示を出していた。まだ降り続ける雨は、川の水の流れを早くして、畠山の家臣の死体を幾つか流していた。
尚継が政宗の下へ駆けてくる。
「政宗様、畠山の死体は…」
「…蔓でその辺にくくりつけて晒し者にしておけ」
「はい」
尚継と、彼から政宗の言葉を聞いた凉影は作業に取りかかった。
「…しかし、政宗様も辛いだろうな…」
「せやな…家族や。仕方あらへん。…これやねん、儂が政宗様に言ったこと」
『何をそないに怯えてはるんですか?』
「…予想が、出来てたのか?」
「いや…予想してたんは儂やなく…多分政宗様の方や」
「?」
「流石に輝宗様が死ぬとまでは予想できへんかったと思うけど、何かしら起こるとは予想できてたと思うねん」
聞き慣れない語尾の上げ下げをしながら、凉影は言葉を紡ぐ。尚継は何の意見も示さずに、作業を再開した。