複雑・ファジー小説

Re: 僕と家族と愛情と ( No.291 )
日時: 2012/12/31 13:54
名前: ナル姫 (ID: tBS4CIHc)  

雪が降る季節になった。蒼丸は一人庭で素振りをしながら、降り積もる雪を眺めていた。
——嗚呼、この雪が心まで白く染めてくれば、どれ程楽なのだろうか。悲しみも怒りも何も感じることはなく、辛い思いは一切しないですむんだ。
「蒼丸殿」
「!尚継様!」
「寒いでしょう?中入ったらどうです?」
「…でも…」

最近の政宗は、とても辛そうだ。仕事もろくに手につかず、纏っている空気もいつもより冷たく、重い。出来れば近くに居たくないのが正直なところだ。その為か、蒼丸の小姓としての仕事が最近減った。その分は宜益がやっているのだろう。
蒼丸の中に入りづらいと言う心境を読み取ったのか、尚継は笑いながら話し始めた。

「聞いてくださいよ、蒼丸殿」
「?はぁ…」
「城は騒がしいですよ。全体的な空気は重いけれど、小さな事がちょこちょこと」

クスクスと笑いながら、さも楽しそうに尚継は続けた。

「さっきからとある人物がこけるし、弁慶の泣き所ぶつけまくるし、溝にはまりかけるわで無様すぎて面白いんです」
「誰ですか、それ」

少し笑って、蒼丸が尋ねる。それを聞いた尚継が待ってましたとばかりに口角を上げた。

「俺ですけどね」

それを告げた瞬間、蒼丸はキョトンとして暫く尚継を見つめていた。その後。

「反則ですよ、そんなの」

緩む口許。
蒼丸の心に、久し振りに安堵が訪れた。


___



「そっそれで、用とは何…ですか!?」

政宗の部屋の前では、一人呼ばれた佳孝が正座をして用事を訊いていた。

「近う寄れ」
「は、はい!」

緊張して政宗の近くによる佳孝。それを確認すると、政宗が後ろに控えている小十郎に振り向いた。小十郎は軽く頭を下げ、後ろに置いてあった刀を政宗に手渡した。柄が緑と黄色の刀だ。それを政宗が佳孝に差し出す。

「佳孝、初陣せよ」
「!」
「鎧も用意した。侍女を呼ぶから来てみろ」
「は、はい!!」

佳孝が返事をした直後、襖が軽く叩かれた。入れ、と政宗が返す。すると襖が開かれ、納、恋、蓮、そして鎧と兜を持った成実が入ってきた。
カチャカチャと音を立てて鎧が付けられていく。暫くして、全ての部品が付け終わった。

「どうだ?」
「予想以上に重いですけど…大丈夫です!」

にこっと佳孝は微笑んで見せた。普段なら偽物でも笑顔を返す政宗だが、今日は真顔のままだった。

「お前は凉影についていけ」
「はい」

佳孝の目は希望に満ちている。



→本編は短めにして、大晦日の挨拶を!
蒼丸「みなさん、今年もありがとうございました!」
小十郎「五月にスレ立てをしてもう七ヶ月ですか…早いですね」
成実「そのわりにはまだ六十五くらいしか話ねぇんだよな…」
政宗「それで総レス数が290以上…」
蒼丸「皆さん沢山コメントをくださいますからね!ありがたい限りです!」
定行「でももう少し更新を早くしたいですね」
成実「作者の来年の目標だな」
小十郎「無理でしょうね」
定行「即決ですか!?」
成実「アリス様の絵も描いてねぇしな」
小十郎「まぁ忙しいですから」
蒼丸「何か宿題の量が凄いんですよね」
政宗(…ここで書いてないで宿題やればいいのに……)
小十郎「ま、それは置いときましょうか」
成実「そうだな」
定行「皆さん、今年もありがとうございました」
政宗「…来年も……よろしくお願いします……」
蒼丸「それでは皆様、よいお年を!!」