複雑・ファジー小説

Re: 僕と家族と愛情と【人気キャラ投票】 ( No.437 )
日時: 2013/08/04 12:35
名前: ナル姫 (ID: mysRRkjQ)  

倒れていた二人は、医者により口から流し込める食べ物を補給された。一応政宗にも連絡はしたが、少々遅くなるそうだ。

「どこの家の人かな…」
「見たところ、服装などからしてどこかの武家でしょうか」

隆昌が答える。浜継は如何わしい目で二人を見ていた。とは言え、目付きはいつも悪いのだが。どうしようもなく、ただ二人を見ていると、門の方から話し声が聞こえてきた。

「政宗様、ようこそおいで下さいました!」
「良い。通せ」
「ハッ!!」

声を拾った定行が、出て参ります、と蒼丸に一礼をして立ち上がった。定行が外に出ると、綾と小十郎をつれた政宗がいた。

「定行、例の二人は?」
「寝ております。息はありますので、取敢えず口から流し込めるものを食べさせました」

歩きながら定行は説明する。政宗は小さく、そうか、と返した。
屋敷に上がり、客間に案内された一行が見たのは、白髪の二人の青年だった。顔色は健康そうで、汚れてはいるものの命に心配は要らなそうだ。

「白髪…服からすると武家の人間だな。定行、伊達領内の武家で、髪が白いのは?」

定行は顎に手をあて、目を瞑った。

「最奥と、和泉の二つでしょうか…その分家の人では?」
「綾、この二人に見覚えは?」
「ありません…最奥家の人間ではないと思います」
「凉影の方は少し灰色掛かっているしな…」

悩み始めたとき、ふと定行が視線をあげた。

「…風迅家…」
「風迅家?」

ここにいる殆どの人間の頭上に疑問符が浮かぶ。定行はよく知りませんが、と言って説明を始めた。

「蘆名領内の小さな武家です。その家の人間は黒髪ですが、先祖に何人か白髪がいたらしく…」
「…先祖返り、と言うわけですね」

小十郎が続きを言うと、定行は無言で頷いた。

「何故、蘆名領内の武家の子供が堀を渡って此処まで来れる」
「う…それは…」

分かりません、と定行が言い掛けたとき、んー、と声が聞こえた。見れば、身長が高い方の青年が目を擦っている。

「あっれ…ここは…」

そして目を開くと、自分を覗き込む沢山の人。

「うわああああ!?」

驚いた彼は後ろに後退り、もう一人にぶつかった。するとそっちも当然だが起きた。

「五月蝿い…白銀…何の騒ぎだいったっ…」

起き上がって、蒼丸達の姿を瞳に捉えると、もう一人の方も唖然として動けずにいた。
二人は、背の低い方が金色、高い方が青色の目をしていた。低い、とはいえそれは二人を比較しての話。実際低い方も成実と同じくらいあり、政宗とは五寸(約15cm)程度の差がある。高い方はそれより二寸弱(約5cm)高く、二人とも大分身長があった。

「だ…誰?」

青い目の方がキョトンとした顔で訊ねる。

「こっちの言葉じゃ」

威圧感を放ちながら政宗が二人を睨む。二人は自然と正座した。

「まずは名を聞こうか。名乗れ」
「やだなぁ、人に名前を聞くときはまず自分から」
「な、の、れ」

おちゃらけた口調で発された言葉が遮られる。一音ずつゆっくり、そして笑顔を張り付けた表情で言うと、二人は頬をひきつらせた。そして互いに顔を見合わせ、諦めたように溜息をつく。

「…風迅白金と申します、弟が無礼な口を叩き、申し訳ございません」
「弟の白銀です。えっと…申し訳ございませんでした」

二人は同時に頭を下げた。政宗の斜め後ろで、蒼丸が呟く。

「…二人ともシロガネ…?」
「あぁ、私は白に金でシロガネです。こっちは、白に銀」

へぇ、と蒼丸は頷いたが、パンッと政宗に頭を叩かれた。関わるな、と言う命令も貰う。

「…蘆名家の家臣らしいな」
「…はい、一応」
「でも、本当に一応ですよ?家臣の家臣のそのまた家臣って程度で、当主の顔さえ知りませんから」

白金の回答に白銀が付け加えた。そして、更に疑問を提示する。

「…それより、ここどこですか?」
「…ここは伊達家領内、米沢の屋敷だ」