複雑・ファジー小説

Re: 僕と家族と愛情と【誰かコメントをお恵みください】 ( No.84 )
日時: 2013/08/04 14:58
名前: ナル姫 (ID: 6em18rVH)
参照: http://p.tl/ehMa

蒼「前回の話で第一章は終了です!ありがとうございました!」
成「つか一章とかあったんだな」
政「今考えただけじゃ」
成「……」
蒼「今回より第二章突入です!よろしくお願いします!」




哉人の葬式が行われた。涙は出なかった。それどころではなかった。成実に言われた言葉が頭の中で旋回する。政宗様を、闇の中から救い出す、か……果たしてそんな事、出来るのか?彼は線香をあげながら、そんなことを考えていた。白くなった父の顔は、何処か満足気で、使命を果たせた事を嬉しがっているようだった——。


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「彼なら、私の期待に応えられると信じておりました。彼は、期待に応えてくれましたが、惜しくも命を失い……」

蒼丸は真剣に話を聞かなかった。よく言うよ、殺しておいただけの癖に。睨むように政宗を見たが、当人は気付いていなかった。

「本来なら蒼丸殿が家督を継ぐ筈ですが、家督は遺言に従い次男の晴千代殿が継ぐことに……」

更に、蒼丸は悩んだ。晴千代が家督を継いで、僕はどうすれば良いのかな。晴千代の補佐役でもすることになるのかな……。


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初七日が済み、家督存続式が始まった。特別な事は何もなく、蒼丸は彼の予想通り、晴千代の補佐になった。とは言え、蒼丸自身補佐として役に立てるとは言い難いため、実質は定行と喜多が補佐役である。
蒼丸は、居場所がなかった。姉の咲は、もうすぐ岩城氏に嫁いでしまうし、定行も補佐で忙しい。

「…はあ…」

縁側で一人、溜息。何時もなら定行が隣にいて、あまり溜息などつくものではありませんとか、笑いながら諭してくれたのだろう。そんな存在がいないとは、意外に寂しいものだ。と、その時。

「蒼?」

は、と蒼丸は顔を上げた。後ろに顔を向ければ、成実がいた。

「成実様…どうして此処に…」
「言ったろ?ちょくちょく来るって。つか声枯れてねぇか?どうした?」

仮にも大森城城主が良いのか、とは思うが、まぁきっと成実に言ったところで何も変わりはしない。それより問題なのは成実に指摘された声だ。

「なんか一昨日辺りから声出なくて…風邪かなんかですかね?」

体調は悪くないんですけど、と付け足す蒼丸を見て、成実は何か思い付いたようで。

「声変わりじゃねぇの?」
「こ!?」
「絶対そうだって!うはー遂に蒼の声も低くなるのか…」

驚いて口がパクパクしている蒼丸を見て、成実は腹を抱えて笑い出した。

「ちょっ…笑わないでくださいよ!」
「あー、悪い悪い」

目に溜まった涙を人差し指で掬う。

「…で、忘れてた。本題本題!」

ポン、と蒼丸の頭に手を乗せて成実は言った。

「お前此処にいても困るだろ?だからとある誘いをな」

「誘い?」

コク、と深く頷く成実に、何ですかソレ、と疑問を口にする蒼丸。ニヤッと不敵に笑い、成実は蒼丸に耳打ちをした。途端、蒼丸の顔から血が引く。

「…本気ですか?」
「本気」
「いや、嘘ですよね?」
「全然?」
「いやいや…無理ですよね?」
「俺は可能だと思うね」
「え…そんな…」
「はいはいつべこべ言わず米沢に出発!!」
「えええええええええええ!!!?」