複雑・ファジー小説
- Re: ポーカーフェイス ( No.5 )
- 日時: 2012/05/26 19:47
- 名前: 三月兎 (ID: npB6/xR8)
第二話 明音
幼馴染が死んだ。
まだ15歳で青春まっただ中ってときに、学校の屋上からグラウンドに向かって飛び込んで。
明るくて自殺なんて無縁そうだと思ってた、彼の名前は白江星太。
星太って書いてしょうたって読むんだなと、初めて会ったときに思った。
幼くして私は、冷め切ったかわいげの足りない子供だったみたい。
ちなみに幼馴染といっても、家が隣ってだけ。
小学校までは一緒だったけど、家が厳しくて頭のよかった星太は、緑ノ桜川学園という中高一貫の学校にはいった。
女子高みたいな名前だし、緑に桜って矛盾してるし、意外といかつい学生もいた緑ノ桜川学園。
なんとなく星太には合わなそうって感じた。
学校が変わると、人はいっきに疎遠になるらしい。
星太とは家が隣にも関わらず会わなくなった。
最後に会ったのは中一のクリスマスだ。
時間がたつにつれてお互いに興味がなくなっていき、最終的には目も合わせない。
そんなふうになっていた。
だから死んだと聞いた瞬間もイマイチ驚けなかった。
オーバーリアクションなお母さんバカバカしく見えるほどに。
で、あとで気づくんだ。
死んだってことは二度と会わないんじゃなくて、会えないんだってことに。
それで、警察が渡してくれた、星太の遺書のコピーを読んだんだけど、意味がぜんぜんわからなかった。
星太、お前は詩人か?
最後の最後に何をやっているのか。
警察も自殺の原因がいじめなのか、両親とのトラブルなのか、はたまた本当にただ自分の価値観を調べるためだけなのか、わからなくて頭を抱えている。
「南沢 茜さん」
突然、重苦しい声がうえから降ってきた。
呼ばれて顔を上げたとき、視界にはいったのは白髪やしわが目立ち始めている、40代半ばくらいの警官。
その表情からは自殺なんか調べるのだるいって感じが伝わってくる。
「星太さんからなにか聞いていませんでんですか」
表情と同じで声もけだるそうだ。
私は少し考えてから、首絵をふった。聞けるわけないじゃんか。
警察はあくびをした。眠たそうに。
なんだよ、その態度は。
いらついたけど、警察ほど喧嘩をうって面倒くさい相手はいない。
そんなこと子供でもわかるでしょ?
わからないのはよほどのバカか、星太みたいな変わり者だけ。
まあ、正義感も強すぎるとわからないかもしれない。
「幼馴染と聞いていたのですが、信用されてなかったんですね」
横目で私をチラリと見ると、警察は出て行った。
・・・・・・むかつきが頂点に達したから、次からはオッサンとでもよんでやろうか。
だいたい星太は、他人に弱みをみせるのを嫌う。
もし私が仲良くしていたとしても言わなかったに違いない。
きっともう一人の幼馴染の池永も聞いていないだろう。
私だけじゃない。
私だけが星太の死について、深く考えてないんじゃない。
