複雑・ファジー小説

Re: 本当のわたし◇No.6 ( No.19 )
日時: 2012/06/19 16:06
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: lwQfLpDF)
参照: 話、思いつかない。誰か助けt((自分でなんとかしろ

No.6◇悩む真白

「 …で、玲音さんはどう思います?」
「 …… あ?」
「だから、あの追っ手についてです」
 暗い夜道を歩きながら、真白と玲音が会話をする。
「知らなーい。ま、良いんじゃない?」
 面倒臭そうに返事をする玲音を半眼で見て、真白は溜め息をついた。
「何が良いんですか… 」
「え? 気にすることないってこと」
 玲音が伸びをする。
「 …だけどですねぇ、わたしは殺されかけたんですよ。その人に」
「生きてるから大丈夫!」
「そういう問題じゃありません」
 「はぁ… 」と溜め息をついて、それから前を見据える。
 二人の目の前には巨大な狼。
「真白チャン、任せた」
「年下の女の子にそんなこと言うなんて、男性として最低ですね」
 毒気付くと、玲音は半眼になった。
「 …ごめんなさいねぇ」
「謝ってる暇があったら、やっつけてください」
 さらりと言う真白を横目に、玲音は銃を右手に構える。
「 …じゃ、やっつけるよ?」
「とっととしてください」
 それと同時に、パァンと闇を切り裂くような乾いた音が響き渡る。
 目の前にいた狼は、その場にどさりと倒れる。
 その様子を見ていた真白が怪訝な表情をした。
「最近、こいつら弱くない?」
 「こいつら」というのは狼のことだ。
 前はこう簡単に仕留められることは少なかった。それに、こちらを襲ってき、多少の怪我をするのは日常茶飯事だった。にも関わらず、最近は怪我などは全くなく、それどころか、本の数分で仕事が終わってしまう。
「そう?  …まぁ、そうかもしれないけど、オレらにとってはそっちの方が良くない?」
「そうだけど、でも——」
 真白はまだ浮かない表情をしている。
「さぁ! 早く帰ろう!」
 玲音にそう言われ、真白は渋々歩き出した。



 秘密組織の建物に戻ると、夜型人間の月乃が廊下を歩いていた。
「月乃さん、どこ行くんですか?」
 なんとなく声をかけると、月乃は立ち止まってこちらを見た。
「あぁ、真白。お疲れ様。 …ちょっと、ボスのところに」
「そうですか」
 月乃に特に用がない真白は、彼女と別れ、自分の部屋へと入る。
 一人部屋にしては広い部屋だ。ベッドやタンス、机やドレッサーなどの家具を置いても、スペースはまだ余っているので、やけに広く感じる。そして、全面黒色なのだ。壁も床も天井も。そこで、真白は床にはカーペットを敷いて、壁には自分のポスターを貼っている。
 そんな部屋を一度、玲音に見られたときは「真白チャンて、自分大好きなんだね」と言われてしまった。
 真白は机のイスに座り、ぼんやりとする。
「あー、暇… 」
 と言うものの、特に暇な訳でもない。現在の時間は夜中の三時だ。あと五時間後には学校も始まるので寝なくてはいけない。しかし、なぜか寝る気にはなれなかった。
「うーん——」
 真白は机に突っ伏して考えた。あの、赤井龍生についてだ。
 今人気のアイドルである自分の名前を知らなかった赤井龍生。それとも、自分が自惚れていただけで、実際は知らない人がまだまだいるのだろうか?
「あぁ、そうかもしれない… 」
 自分はまだまだなのだ。全てに於て。まだ自分は十三歳で、子供なのだ。知らないことは山ほどあるし、知らなければいけないことも山ほどある。
「あぁぁぁぁーっ! もう、なんなのよ!」
 自分のマイナス思考にイライラして思わず真白は叫んでしまった。
「 …ったく、わたしは——」
 悶々としたまま、真白はベッドへ入った。
『 …この少年をマークしてくれ』
 ボスに言われたその言葉を思い出し、真白は溜め息をついた。
「マークって、一体どうすればいいのよ… 」
 小さく呟いて、色々考えているうちに、真白は眠りに落ちていった。