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複雑・ファジー小説
- Re: 本当のわたし ( No.34 )
- 日時: 2012/07/15 16:55
- 名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: Km711df.)
- 参照: だから、話が詰まってきたんだよぉ。
No.16
◇◆◇
死にたくない。
死にたくなかった。
だから。だから。
——だから。
◇◆◇
「…ん——?」
真白はゆっくりと目を開けた。
まばたきをすると、眦から暖かいものがこぼれ落ちた。
「……———」
真白は両手で目をおおった。
「——あ…っ」
涙が止まらずに、口から嗚咽がこぼれる。
泣いちゃだめ。
しかし、涙は止まらなかった。
コンコンとドアをノックする音で目を覚ました彼女は、溜め息を一つつくとベッドから降り、ドアを開けた。
「何の用だ?」
そこには、年下の青年——否、彼女からしてみれば、まだ少年かもしれない。
「青?」
険しい表情をしている彼の名前を口に出すと、ゆっくりと口を開いた。
「…月乃、少し話があるんだ」
「——そう」
無言で彼を部屋に招き入れ、椅子に座らせ、自分は身体を壁に持たれかけて腕組みをした。
椅子に座った青は駿巡したのちに言った。
「今日現れた奴のことだが」
月乃は黙然と頷く。
「…実験体を、更に強くしているらしいんだ」
「………そんなこと、知ってる」
月乃は顰めっ面をした。
「今まで真白と玲音があんなに追い詰められたことはなかったよ。…まぁ、玲音が銃を持ってなかったというのもあると思うが——」
チラリと窓の外の様子を伺う。特に異常はない。
「…だけど、それだけじゃない」
「——何?」
月乃は軽く目を見開いて、青を見た。
「あいつらは、実験体を使って——」
青はそこで一度言葉を止めた。そして、月乃を真っ直ぐに見詰めた。
「僕たちを殺そうとしている」
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