複雑・ファジー小説

Re: 本当のわたし ( No.36 )
日時: 2012/07/16 20:14
名前: 羽月リリ ◆PaaSYgVvtw (ID: HjIs5c3i)
参照: 主人公の影が薄いのは気のせいだよね?

No.17◇秘密組織の楽しい会議、再び

『みんな! 会議だ、会議を行う! 今すぐ会議室に集まれーい!』
 スピーカーから大音量で流れてくるその声を聞いて真白は目を覚ました。
「……今、何時?」
 ベッドに置いてある時計は二時頃を指している。
「………寝過ぎだ」
 今朝はルーテア・カルツとヒロハという二人がこの秘密組織へやって来て、実験体と戦ったのだ。そのあとに二度寝をしたが、こんなに眠るとは。
「月乃さんみたくなる」
 それは嫌だな、と思いながら真白は洗面所で顔を洗う。
 冷たい水のお陰で、目が冴える。
「…それにしても、何で会議なんて——」
 大きな欠伸をしながら会議室へ入ると、そこにはまだ青と月乃しか来ていなかった。
「月乃さん、珍しいですね。こんなにはやいの」
「…真白は私を何だと思ってる?」
 渋い表情をして月乃が言う。
「ずっと寝てるダメ人間」
「………」
 月乃は沈黙した。
 そこに風太郎が入ってきた。
「お待たせしました」
 ニコニコと笑った風太郎が席に着く。
 青は会議室を見渡してから渋面を作った。
「…おい、玲音は?」
 思えば、まだ来ていない。
「サボリじゃないですか?」
「確かにそうかもしれないけど…」
 青が半眼になって唸る。
 すると、月乃が立ち上がった。
「私が様子を見てくるよ」
 青の返事も聞かずに彼女は会議室から出ていってしまった。
「………」
 二人いないので、会議を始めることも出来ない青は椅子に座ってカツカツと爪で机を叩き出した。
「静かにしてください」
 真白が言うと、青は手を止め、ムッとして彼女を睨んだ。対しての真白は、どこ吹く風といったふうに視線を窓の外へやった。
「まぁまぁ、二人とも仲良く、笑顔で」
 常に笑顔な風太郎がやはり笑顔で言ってくるが、二人は何も言わない。
「…はぁ、気まずいなぁ」
 風太郎が嘆息をついた。
「仲の悪い二人と一緒にいるなんて、俺、嫌だなぁ」
「だったら出ていけ」
 青がギロリと風太郎を睨む。
「…だから、さっきから笑顔って言ってるじゃないですか」
「黙れ」
 不機嫌度が増した声で青が言うのに対し、風太郎は再び嘆息をついた。
「口が悪いですよ。ボスともあろう方がそんな言葉遣い——」
「——風太郎」
「あぁ、ほら、そうやって年上を呼び捨てるのも——」
 風太郎はふと青を見て、首を傾げた。
「そんな物騒な表情をして…、眉間に皺が寄ってますよ? どうしてですか?」
 青は、我慢の限界、といったようにバンと机を叩いて立ち上がった。
「お前のせいだよ! 風太郎!!」