ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

　　　　　　　　　　　　　　〆



　彼の想いは決して彼女には届かないだろう。
　彼女が見つめるのは、自分とはまったく正反対で、まったく同じな人間なのだから。
　壊れそうな心を必死で支えるために、彼は自身を傷つけた。　でないと、いつ彼女に自分の欲望が牙を向けるか、わからなかったから。

　痛みは彼を正気に戻してくれた。
　流れ出る血の感触と匂いが、彼を安心させてくれた。　まだ、痛みを感じることができると。
　まだ、自分は人間でいられると。

　彼はゆっくりと微笑んで、けれど疲れきった表情で彼女の写真を眺める。



「愛しているよ、紗夜」






《episode１　character》



　千隼望夢　チハヤ ノゾム

　　高校２年生　
　　雰囲気は柔らかく、優しい印象を与える。　図書委員。




　水原紗夜　ミズハラ サヤ

　　高校２年生
　　何事にも冷めがちで、目つきが悪いため、近寄りがたい雰囲気がある。
　　千隼とは中学のとき３年間同じクラスだった。



　三好史親　ミヨシ フミチカ

　　高校３年生
　　美術部の部長。　絵は描いていない。



　宝月優子　ホウヅキ ユウコ

　　『百々峰高校』　の生徒指導員。
　　校内の教師のなかでは年齢が若いため、生徒からの信頼が厚い。