複雑・ファジー小説

Re: 自分の時代 人の時代 ( No.2 )
日時: 2012/06/06 15:29
名前: 夜幽 (ID: x1YwoWnh)

★プロローグ★

数年前

生い茂った森

心地よい風

澄んだ空

そして安らぐ歌声

少女「(今日はあの人が旅立つ日。)」

少年「ここにいたんだね。」

1人の少年が少女に歩み寄る

少女「!真田さん。」

彼は答えるように少女に微笑んだ

少年「隣いいかな?」

少女「はい。」

少年が腰掛ける

少年「ハァー、気持ちいい。」

少女「何が気持ちいいんですか?」

少年「……君の隣にいられること。」

少女「!」

少女は照れくさそうにそっぽを向いた

少年「ふっ、可愛い。」

少女「からかわないでください!」

少年「からかってないよ。僕は本気だ。」

少女「!?」

少年の青い瞳には嘘偽りなく
真っ直ぐな目で少女を見つめていた

少女「っ……で、でも、真田さんにはやる事が!」

少年「分かってる……だから、これで最後にするつもりさ。」

少年が立ち上がった

少女「え?それはどういう意味ですか?」

少年「君は僕の夢を知っているよね?」

少女「はい。知っています。」

少年「僕はまだまだ、半人前だ。」

少女「そう……ですね。」

少年「(何、今の間?)そんな未熟な中で君と一緒になるなんて末恐ろしい。」

少女「……。」

少年「だから考えたんだ。どうしたら君にふさわしい立派な男になれるかなって」

少女「……答えは出たんですか?」

少年「あぁ!それは……万屋を開いて人助けをすることだ!」

少年が腕を振った

少女「人助けですか?」

少年「その通り。人の気持ちを考え、人を思いやる。まさしく万屋は僕の本職!」

少女「それでどれ位、人助けをするんですか?」

少年「!うっ……そこまでは……考えてなかった。」

少女「……分かりました。あなたが納得いくまで人助けをしてください。」

少年「え?」

少女「そのかわり、ちゃんと仕事してくださいよ。やってなかったら怒りますよ?」

少年「い、いいの?」

少女「あなたが決めたことなら私は文句を言いません。立派にやって来てください。」

少年「!ありがとう!」

少女「ん!」

少女が少年に指を差し出す

少年「なにこれ?」

少女「指きりです。」

少年「はいはい。指切りげんまん。」

少女「嘘、ついたら針千本飲ます。」

少年と少女「指きった!」

少年「ふー、行ってきます。」

少女「いってらっしゃい。体に気をつけて。」

少年「はい。」

少年がその場を立ち去ろうとした

少女「……。」

少年「……好きだ!」

少女「!」

少年「だから、ちゃんと待ってろよ!」

少女「バーカ!待ってるわよ!後、私も大好きだから!」

こうして少年は約束を果たすため旅立った