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複雑・ファジー小説
- Re: コドクビワ、キミイゾン。 ( No.101 )
- 日時: 2012/08/12 20:21
- 名前: 揶揄菟唖 ◆bTJCy2BVLc (ID: 5VUvCs/q)
+65+
頭は冴えていた。そうして、頭で考えて、行動した。
視界に居る、顔の整った小奇麗な男に向かって、フォークを突き立てる。簡単だった。机の上に2本もあるんだ。
俺を、誰が止められるっていうんだ。俺を、誰が止めて良いっていうんだ。俺は悪くない。
だって、コイツが、この男が築にあんな顔させるから。
警察に声を掛けられながら、パトカーに乗り込む。抵抗もしなかった。大人しい俺を、最初は気味悪がっていた警察も、しばらくして何もしないと知ると、警察は笑いかけてきたりしたけど、気にしないで置いた。
俺は別に、なんだって良いんだ。
心配そうに俺を見つめる築を振り返る。
「築、心配するなよ、すぐ帰ってくるよ。築」
そしたらさ、俺が帰ってきたら、俺たちずっと一緒に居ようよ。さっき、抱きしめ返してくれたじゃん。つまり、そういうことでしょ。俺と同じ気持ちだったんでしょ。
どんなに綺麗な女が俺を誘っても、俺は避けてきた。だって、築のことを忘れる事なんかできなかったから。ずっと、築しか考えてこなかった。ずっと築でアレも処理して来たよ。
築はまた唇を噛み締めた。俺の前でもそんな顔するのかよ。
アイツは俺がどけてやったじゃんか。
俺たちを邪魔する奴はもう、誰も居ないよ。
俺は築に笑ってやった。
どんな風に笑っているか、なんて考えずに。
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